第1原発処理水、2年後に海洋放出 政府決定、基準以下に希釈

 

 東京電力福島第1原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水の処分に関し、政府は13日、海洋放出とする方針を正式決定した。設備工事や原子力規制委員会の審査が必要になるため、放出開始まで2年程度かかる見込み。漁業関係者の反対は根強く、国民、国際社会の理解醸成や具体的な風評対策など、実施に向けた課題は多い。

 菅義偉首相は官邸で開いた関係閣僚会議で「処分は廃炉を進めるのに避けては通れない課題だ。政府が前面に立って安全性を確保し、風評払拭(ふっしょく)に向けあらゆる政策を行っていく」と強調した。政府は、追加対策の必要性などを検討する新たな関係閣僚等会議を同日付で設置、週内にも初会合を開く。

 内堀雅雄知事は13日、県庁を訪れた梶山弘志経済産業相から説明を受け「処理水の問題は本県復興にとって重く困難な課題」とした上で「基本方針を精査し改めて県としての意見を述べさせていただく」とした。

 海洋放出は、東電が実施主体となる。政府が決定した「処理水の処分に関する基本方針」では、トリチウム濃度は国の規制基準(1リットル当たり6万ベクレル)の約40分の1となる1500ベクレル未満まで希釈、年間に放出するトリチウムの総量も事故前と同程度の22兆ベクレルを下回る水準とする。ただ、廃炉完了までに放出を終えるため、「定期的に(水準を)見直す」としている。

 トリチウム以外の放射性物質も残った水については、多核種除去設備(ALPS)での再浄化を徹底。国際原子力機関(IAEA)の協力を得て監視体制を強化・拡充して信頼性を確保するとともに、農林水産業者や地元自治体の検査などへの参加などを通して客観性・透明性を高める。

 風評被害対策として、東電には国民・国際社会の理解情勢や抑制のための対策に取り組むとともに、風評被害が発生した場合、賠償で機動的に対応することを求める。賠償は時期や地域、業種を限定せず、被害者に立証負担を寄せることなく迅速に対応するよう、指導するとしている。

 その上で政府として処理水の安全性など科学的根拠に基づく情報を発信するほか、県や各市町村の風評払拭に向けた取り組みを支援する。また、福島相双復興推進機構(福島相双復興官民合同チーム)が浜通りなど15市町村の水産関係の仲買・加工業者などの支援に新たに取り組む。

 東電はタンク容量が来年秋以降に満杯になると見込んでおり、国と東電はタンク増設の要否を検討する。