福島県漁連、海洋放出改めて「反対」 操業の在り方、対応検討

 
梶山経産相との面会で処理水の海洋放出反対を述べる野崎会長(中央)

 県漁連の野崎哲会長は13日、いわき市で梶山弘志経産相から政府方針の説明を受け「福島の漁業者の意思として処理水の海洋放出を容認することはできない」と改めて海洋放出に反対する立場を伝えた。

 野崎会長は、東京電力福島第1原発の建屋周辺の井戸からくみ上げた汚染地下水を浄化して放出するサブドレン計画を進める際、県漁連と政府が2015(平成27)年8月に「関係者の理解なしには(処理水の)いかなる処分も行いません」との約束を交わしたと指摘。「これまで廃炉の促進、汚染水問題の収束に向けて協力してきた。関係者の理解なしに放出しないとの方針を順守してもらえると信じていたが、このような決定がなされ、非常に驚いている」と批判した。

 県漁連は近く役員を集めた会議を開催する。その後、漁協ごとにも開き、政府方針を説明するとともに今後の操業の在り方などで組合員の意見を聞き、対応を検討する考え。

 「漁業の灯」消さない

 東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を巡り、13日にいわき市で梶山弘志経産相と意見交換した県漁連の野崎哲会長は、海洋放出に反対した上で「この土地で漁業を続けていくことがわれわれにできる精いっぱいの抵抗運動だと考えている」と訴え、政府に操業継続に向けた対応を求めた。

 梶山経産相から理解を求められた野崎会長は「(海洋放出の)決定を受けてもなお福島県に土着し、地元で漁業を営むことを強く決意している。その思いを消さないよう動いてほしい」と、思いを伝えた。

 本県漁業は試験操業を終え、4月から本格操業への移行に向けた操業を始めたばかり。野崎会長は会談で「操業の規制を緩和して今後の道を模索してきたタイミングでの決定に驚いている」と疑問を呈した。

 意見交換を終えた野崎会長は報道陣に対し「首相官邸で意向を聞いてわずか4、5日で決定されたことが非常に残念」と厳しい表情を浮かべた。2年後の処理水放出に向けて「新たな後継者に、この結果は申し訳ないと思っている」としながら、「漁業をしていくために何が必要なのか漁業者で話し合いながら方針を決めていきたい」と語った。

 出席した漁業関係者からも懇談後、反対の声が上がった。いわき市漁協の江川章組合長は「復興のために廃炉を進めなくてはならないことは分かっている。だが、地元で働く多くの漁業者に話を聞くことなく処分方法を決定されてしまい、非常に残念だ」と話した。

 相馬双葉漁協の立谷寛治組合長も「処理水を流せば再び風評に悩まされる。政府はまだ説明責任をしっかりと話していない。風評対策をしっかりとしてもらわなければ反対という立場は変わらない」と主張した。

 「絶対に反対」

 県内の水産団体の関係者も改めて、海洋放出への懸念を示した。

 県水産加工業連合会の小野利仁会長は「風評被害どころではなくなる。実際、福島産の魚介類を取り扱わなくなった業者もいる。海への放出は絶対反対だ」とし「消費者と向き合っている自分たちも風評の最前線にいる。福島の魚離れに拍車が掛かってしまう」と危機感をあらわにした。

 県内水面漁連の佐川泉代表理事会長は「(海洋放出決定は)仕方がない部分もあるが、非常にがっかりしている。われわれの言い分が国に全く通らない」と落胆した。「(国は)東京電力に補償をやらせるというが、国が主導するべきではないか。最後まで国がバックアップしてほしい」と求めた。