内堀知事、風評対策に注文 海洋放出、国へ「不安払拭が不十分」

 

 東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出方針決定を受け、内堀雅雄知事は15日、梶山弘志経済産業相と経産省で会談し、県内関係者への丁寧な説明や万全な風評対策などに政府を挙げて取り組むよう申し入れた。県の意見を受け、政府は16日、海洋放出の着実な実行に向けた新たな関係閣僚会議を開き、対策の具体化を加速させる。内堀知事も出席する。

 内堀知事は15日、報道陣に海洋放出を受け入れるかどうかを問われ「県自身が容認する、しないという立場にあるとは考えていない」と述べ、知事として賛否を示さない意向を明らかにした。その理由について「処理水を含む廃炉対策の当事者は国と東電だ。特に海洋放出は福島だけではなく、日本全体の問題だ」と説明した。

 会談に先立ち県は原子力関係部局長会議で、海洋放出に対する各部局の意見を集約した。浄化処理の確実な実施や国内外への正確な情報発信、処理技術の継続的な検討などを求めることが柱で、内堀知事は会議後に上京し、梶山氏に申し入れ書として手渡した。

 内堀知事は「県民が10年にわたり積み重ねてきた復興や風評払拭(ふっしょく)の成果が水泡に帰す懸念がある」と訴えた。その上で、政府が示した風評対策について「これまでの対策を拡充するものだが、県民の不安を払拭するのには必ずしも十分とは言えない」と指摘、県内の農林水産業や観光業などへの風評対策に国の責任で万全を期すよう求めた。

 本格操業に向けて移行した漁業を巡り、全ての水産物の適正取引が不可欠だとして「将来にわたり安心して事業が営めるような仕組みを国が構築してほしい」と強調した。

 梶山氏は「漁業者をはじめ、影響を受け得る皆さんの意見を聞き、販路開拓への支援など、できることは何でもやるとの覚悟で徹底したい」と約束した。

 また、内堀知事は不祥事やトラブルが相次いでいる東電の姿勢にも言及し「東電の管理体制について、県民目線に立った抜本的な改革が図られるよう国が強く指導してほしい」と念押しした。