風評賠償、限定せず 内堀知事に東京電力、処理水放出前も対応

 
(右)東電の対応方針について説明する小早川社長(左)東電の説明を聞く内堀知事

 東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出方針決定を受け、実施主体となる東電の小早川智明社長は16日、内堀雅雄知事と県庁で会談し、政府の基本方針を踏まえた東電の対応方針を伝えた。賠償について「国の指導を仰ぎながらしっかり検討していく」と述べ、期間や地域、業種を限定せずに賠償する方針を示した。海洋放出前に被害が生じた場合も賠償する。

 東電は政府方針に沿い、実施まで2年程度かかるとされる海洋放出に向けて今後、原子力規制委員会による認可取得のための準備を進める。海洋放出は5、6号機の排水口の活用を第1候補とし、港湾内への放出を想定している。小早川社長は「復興と廃炉という責任を果たしていくためにも原発事故の当事者としての覚悟と責任を自覚し、私が先頭に立って取り組んでいく」と述べた。

 内堀知事は賠償について「損害がある限り、最後まで確実に実施してほしい」と述べ、被害者の立場に立った迅速な対応を求めた。また、不祥事やトラブルが相次いでいることを「県民は大きな不信感とともに憤りを感じている」と批判。県民との信頼関係の再構築に向けた改革の断行と、東電として主体性を持った取り組みを強く求めた。

 東電は賠償のほか、情報を正確に伝えるためのコミュニケーション、農林水産物の流通促進に向けた活動を展開し、風評の抑制を図る。監視体制については、これまでのセシウム137を中心とした放射性物質のモニタリング(監視)に加え、処理水に含まれるトリチウムについても重点的に実施。海洋放出開始の約1年前から強化した海域モニタリングを始める。

 東電は柏崎刈羽原発(新潟県)の核物質防護不備で、原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令である是正措置命令を14日に受けている。会談後、報道陣の取材に応じた内堀知事は、東電による海洋放出の実施について「是正措置命令という状況を改善していくことが大前提。『できる』ということを2年の中で立証することが重要」と述べた。