避難先に新牛舎「全国に良質の和牛届けたい」、浪江の古山さん意欲

 
「いずれは浪江でも農家をやりたい」と語る古山さん

 東京電力福島第1原発事故で浪江町から避難し、いわき市三和町に牛舎を構えた生産法人「ビーフジャパン」の社長古山優太さん(36)は今月から、新しい牛舎で和牛の繁殖業を本格的に始めた。古山さんは「いずれは浪江でも農家をやりたい」と話し、古里での営農を夢見ながら牛の世話に打ち込んでいる。

 古山さんは震災前まで浪江町津島地区で和牛を育てる肥育業を家族で営んでいたが、原発事故で避難を強いられ、生活は一変した。「牛のいない生活は考えられなかった。この10年間は振り返る間もなく仕事してきた」と話すように、避難したいわき市の遠野町や勿来町にある貸してもらった牛舎で、肥育を続けた。

 避難後は次第に事業も軌道に乗り、2017年に生産法人「ビーフジャパン」を設立した。

 いわき市三和町に構えた牛舎には19日、親牛の約10頭を搬入した。6月までに親牛計280頭をそろえる予定だ。

 牛舎を整備するまでは、家族や親戚が協力して桑畑だった場所を切りひらくなどの苦労もあっただけに、古山さんの喜びも大きかった。「繁殖と肥育の一貫経営は私と父の夢。この牛舎から全国に質の良い和牛を届けたい」と話す。

 農林中央金庫福島支店などの支援を受けて牛舎を増やしており、500頭以上の和牛を飼育できる環境が整っている。繁殖事業で生まれた子牛は約10カ月、古山さんらの手で育てられ、全国の肥育農家に届けられる。

 古山さんは「将来的には肥育も行っていきたい。まだ始まったばかり。これを弾みに古里の復興にも関われるよう努力していきたい」と話す。