県北モモ低温被害、苦しむ生産者 中通りナシや会津アスパラも

 
遅霜による被害が出ているモモの花=21日午後、桑折町

 県北地方を中心に10~15日に起きた低温と降霜の影響で、花のめしべが枯れるなど果樹の生育被害が起きている。特に本県を代表する夏の果物であるモモなどの被害が大きい。昨年もモモせん孔細菌病で苦しんだ生産農家や関係者は「出荷量にどのくらい影響するか分からない」と不安を口にしながら、被害を最小限に食い止めようと対策を進めている。

 「今年こそはと思った矢先だった」。桑折町の農家後藤信広さん(57)はモモの木270本(桑折町)、柿の木106本(桑折町、国見町)を栽培しているが、いずれも7割近くの遅霜被害に遭ったという。昨年はモモせん孔細菌病が流行し、厳しい状況が続く。「この時期にこんな大きな被害を受けるのは初めて。3割程度取れれば良いが、今シーズンはほとんどだめかもしれない。来年に向けて防除作業などしていく」と前を向く。

 JAふくしま未来桑折営農センターなどによると、今年は温暖な気候が続き、花が咲く時期が例年より早かった。そこに10日からの冷え込みが重なったことが被害の要因とみられる。

 特に、果樹栽培が多い桑折町伊達崎や伊達市伏黒など阿武隈川沿いの平らな土地は冷気が停滞しやすく、気温低下の程度が大きかった。モモの安全限界温度はマイナス2度とされているが、11日未明の最低気温は、同町伊達崎でマイナス5.6度を観測したという。

 同JAの調査でも、桑折町では阿武隈川沿いの平らな地域で被害が多かった。同JAは成長が止まってしまった場合は病気を防ぐ作業で落花することもあるため、当面は様子を見るよう指導している。

 桑折町は農家への支援を検討しており、担当者は「町特産の『献上桃』をどう守っていくか。今後も続く防霜対策を関係機関と協力しながら農家に呼び掛けていく」と話す。

 県によると、県全体では中通りのモモやナシの霜被害が大きく、会津のアスパラガスも一部被害を受けている。県は、県内全域の被害状況を調査中だが「例年になく大きな被害になりそうだ」(農業振興課)という。

 同JAなどは26日未明に霜予報が出ているため、警戒を呼び掛けている。

 福島市町庭坂の農業梅津文夫さん(81)方では21日にナシの授粉作業が行われた。梅津さんは「開花が進み昨年より10日ほど作業が早い。今月いっぱいは凍霜害が心配だ」と話し、授粉作業を進めていた。