【相馬福島道路・24日全線開通】企業進出 流通加速、熱い相馬

 
県内や宮城、山形両県の海の玄関口となる相馬港。相馬福島道路の全線開通も見込んで、周辺では企業進出が進む=相馬市

 相馬地方と県北地方を結ぶ東北中央道「相馬福島道路」(延長約45キロ)が24日、全線開通する。東北道を経由して山形県へとつながる交通網の誕生により、産業活性化や交流人口の拡大が期待される。開通効果を探った。

 売り上げ1.5倍に

 「高速ネットワークが大きな武器になった。納期までの期間が短いことが売りになり、東北各地の顧客獲得につながった」。相馬福島道路の開通を見据え、相馬市に進出した鉄鋼加工・流通業のアイ・テック(静岡市)。相馬支店の大久保裕之支店長(50)は力説した。

 国内外から船舶で運ばれてきた鉄鋼を切断するなど、加工後に出荷している同社は、2018(平成30)年6月に、東北で初となる工場を相馬港1号ふ頭に整備した。福島、山形両県への輸送で相馬福島道路を利用しており、納期の短縮はもちろん、顧客の注文に柔軟に対応する体制を構築できたと説明する。

 大久保支店長は分かりやすいようにと製品をリンゴに例え、こう述べた。「これまでは関東の工場などから箱でしか送ることができなかった。だが今は1個から注文を受けることができるようになり、相馬からすぐに届けられる。それが取引の増加につながっている」

 東北での売り上げは大幅な伸びを見せた。工場進出後の19年度は17年度の1.5倍に。特に山形県内での伸びが大きく、東北中央道、山形道を経由してつながっていく酒田市では2.5倍に増えた。

 大久保支店長はコスト面の効果も指摘する。これまで県内の中通りと山形方面に製品を1日で輸送する場合、計2台の車両が必要だった。だが、全線開通による時間の短縮で山形方面から戻った後、中通りに製品を届けることができ、車両1台を確保すれば済むようになるとみている。

 進む工場新設

 相馬地方では、物流効率化などを見込んだ企業の工場新設が進む。経済産業省の工場立地動向調査によると、東日本大震災が起きた11年と翌12年の新増設件数はそれぞれ1件にとどまったが、相馬福島道路の全線事業化が決定した13年以降、企業進出が加速。11年から、相馬山上―相馬インターチェンジ(IC)間が開通した19年までの新増設件数の累計は28件に及び、設備投資額は計1898億円に上った。

 地元関係者は、全線開通がもたらす効果に期待を寄せる。原町商工会議所(南相馬市)の門馬幸生事務局長(44)は「震災からの10年で相馬地方の交通網は飛躍的に発展した。今後、交流人口の拡大が見込まれ、新たなビジネスチャンスが生まれる。地元企業がそれをキャッチして、新しいサービスに結び付けていくことが重要になる」と指摘した。