「肝臓がん」新しい治療研究 福島医大と福島大、廃炉技術応用

 

 福島医大と福島大は22日、「放射線塞栓(そくせん)療法」と呼ばれる肝臓がんの新しい治療法の開発を目指し、今月から共同研究を始めたと発表した。福島医大に震災後に備わった医療用放射性物質製造技術に、福島大が東京電力福島第1原発の廃炉に貢献するために開発した技術を組み合わせ、国内で初めてとなる治療法の開発を試みる。

 両大学によると放射線塞栓療法は、放射性物質を閉じ込めたマイクロメートル(ミリメートルの1000分の1)単位の極めて小さい放射性薬剤「放射性ビーズ」を、カテーテルを使って肝臓がんのある血管に送り込む。放射性ビーズは細い血管に入り込み、がんに栄養を運んでいる血管をふさぐ。さらにその場所からアルファ線などの放射線を出し、直接がんを攻撃する。

 放射性ビーズは、福島大が開発した放射性物質を閉じ込める材料を活用して開発する。海外ではこうしたがん治療法に使う薬剤がいくつか製造されているが、国内では研究が進んでいないという。研究チームは1年以内に特許を取得したい考えだ。

 福島医大で研究の中心を担う鷲山幸信先端臨床研究センター准教授(47)=放射線科学=は「福島県を代表する大学がお互いの技術を共有し、最終的に患者に提供できるところまで研究を進めていきたい」と意欲を述べた。

 放射性物質を閉じ込める技術を開発した福島大の高貝慶隆共生システム理工学類教授(44)=分析化学=は「原発事故後、放射性物質を取り除くための研究を続けてきたが、これは放射性物質を閉じ込めるのにも使える。廃炉のための技術を医療に応用していきたい」と語った。