首相「風評対策全部やる」 内堀知事面会、処理水海洋放出方針に

 

 内堀雅雄知事は22日、官邸で菅義偉首相と会い、東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出方針決定を受け「処理水の問題は福島だけではなく、日本全体の問題。首相自身が先頭に立ち、責任を果たしていただくことが重要だ」と伝えた。首相は風評対策について「できることは全部やる。その覚悟で臨む」と約束したという。内堀知事が終了後、報道陣の取材に明らかにした。

 政府が示した風評対策を巡っては、県内から踏み込み不足だとの懸念が相次いでおり、首相が指導力を発揮して実効性のある対策を速やかに打ち出せるかが問われる。復興庁は同日、関係省庁の幹部会合を開き、風評対策の具体化に向けた検討を加速させた。

 会談は非公開。首相は内堀知事に「福島の復興に向けリーダーシップを発揮しながら、責任と覚悟を持ってしっかりと処理水の問題に臨んでいく」との決意を示した。処理水に関する国内外の理解が深まっていない現状を念頭に「国として広報活動を積極的に行い、丁寧に説明する」と述べた。

 内堀知事は会談で、関係者への丁寧な説明や国内外への正確な情報発信、万全な風評対策と将来に向けた事業者支援などに国の責任で取り組むよう重ねて求めた。首相は「重く受け止める」と答えた。

 政府方針の決定を受け、内堀知事は「海洋放出に反対の意見、タンクでの保管継続を求める意見、新たな風評を心配する県民の声が数多くある」と説明。海洋放出により「この10年間の復興への取り組み、風評払拭(ふっしょく)に向けた努力と成果が水泡に帰してしまうのではないか」と県民の思いを伝えた。

 内堀知事は、15日に梶山弘志経済産業相に申し入れた後、16日の関係閣僚会議(議長・加藤勝信官房長官)の初会合に出席して県の意見を表明したが、首相は訪米中のため不在だった。海洋放出方針を巡る県民の不安と不満の大きさを背景に、帰国後に首相への直談判が不可欠だと判断した。内堀知事は「首相が決意と覚悟を政府内で示すことが、処理水の問題にオールジャパンで取り組む出発点になる」と強調した。