【相馬福島道路・24日全線開通】物流 新鮮な農産物、広がる市場

 
「相馬福島道路のメリットを生かせれば」と話すキュウリ農家の佐藤さん=伊達市

 「利便性が高まり、キュウリをはじめ新鮮な農産物をより早く市場に届けることができる」。JAふくしま未来復興対策室の志賀弘紀室長(58)は相馬福島道路の全線開通を待ち望む。

 キュウリは本県を代表する農産物の一つ。同JAが管轄する県北、相馬地区では夏から秋にかけて収穫する「夏秋キュウリ」の生産が盛んで、2020(令和2)年度の出荷量は1万1129トンに上り、単位JAで全国トップだ。「出荷量日本一」を維持するには市場拡大が重要課題となる。志賀室長は「キュウリを届ける上で、必要な道路になる」と指摘する。

 本県と異なり1年を通してキュウリの出荷が可能な九州などとの産地間競争は激しく、「産地同士で市場を取り合っている」のが現状。JAふくしま未来は市場拡大を見据え、南相馬市小高区に新たな栽培施設の整備を計画している。

 約1万7000平方メートルの敷地にハウス43棟を建設する大規模施設で、来年4月から順次稼働する予定だ。原発事故に伴う避難指示が解除された同市小高区の農業復興をリードする施設としても期待を集めており、復興につながる新たな物流ルートの形成が見込まれる。

 直売所も期待

 首都圏や大阪、宮城など既存の市場に加え、新たな出荷先を開拓できるか。伊達市保原町の農家で同JA本店きゅうり生産部会連絡協議会長を務める佐藤清和さん(60)は10棟のハウスで年約17トンのキュウリを生産する。「市場拡大は簡単なことではない」と念押ししながも、相馬福島道路から常磐道を経た先にある茨城県や千葉県をにらみ「相馬福島道路のメリットを生かすことができれば」と期待を隠さない。

 農産物直売所への人の流れも変わってきそうだ。これまで桑折、国見両町にある農産物直売所を訪れるのは近隣市町村や宮城県が中心だった。伊達果実農業協同組合の佐藤邦雄組合長(67)は「相馬や南相馬の人が気軽に来ることができる距離になる。コロナ禍だが、全線開通で人の移動は活気を帯びるだろう。経済効果は大きい。新鮮な農産物を求め、足を運んでほしい」と呼び掛けた。