高木教授「早く投与し効果検証」 福島医大、IgA抗体を取得

 

 「早く投与して効果を検証していきたい」。新型コロナウイルス感染症を予防、治療する抗体医薬品の開発につながるIgA抗体を手に入れ、研究を担当する福島医大医療―産業トランスレーショナルリサーチセンターの高木基樹教授(47)は27日、実用化に向けた開発を急ぐ考えを示した。

 高木教授によると、抗体医薬品のメリットの一つは、抗体の中でもウイルスの特定の部分に結合して感染を阻止する「中和抗体」を体内に直接投与できる点にある。ワクチンは体内に中和抗体を作らせることを目的としているが、一般的にワクチン接種では中和抗体ができない場合がある。

 国内で増えている新型コロナの変異株は、ウイルスのヒト細胞とくっつく部分がより結合しやすく変異しており、この部分に先に結合して感染を阻止する中和抗体を見つけることで、変異株にも効果のある薬を作ることが可能という。

 このほか、IgA抗体は唾液などに安定して存在しており、室温の状態で置いておけると考えられることも利点の一つだ。高木教授は「IgA抗体は粘膜に存在するというのが特徴。トローチとしてなめたり、鼻に塗ったり、注射ではない方法での投与が可能だ」としている。

 今回、抗体を取り出すのに使った「免疫モニターチップ」は東日本大震災後のプロジェクトで生まれた。体内の免疫状態を測定するシステムで、新型コロナの研究に使用する前、がんの薬の評価などで使っていた。ウイルスの部品になる、タンパク質などをガラスの板に並べて解析するという。

 医大は抗体を手に入れるため、昨年、新型コロナに感染して回復した人を対象に採血ボランティアを募った。福島市の福島医大病院と福島赤十字病院のほか、東京都の東都クリニック、墨東病院が協力した。医大は取り出した数種類の抗体のうち、医薬品に使えるものなど「有望な抗体」について特許を出願する。それ以外も、診断薬などとして使えないか検討していく。