「遠野和紙」歴史を継ぐ 元協力隊・平山さん夫妻、いわきに工房

 
5月1日に「遠野紙子屋」を開店する平山祐さん(左)、綾子さん

 川崎市からいわき市に移住し、地域おこし協力隊として遠野和紙継承に取り組んできた平山祐さん(38)、綾子さん(34)夫妻は5月1日、いわき市遠野町入遠野に新たな和紙工房「遠野紙子屋」を開店する。一時途絶えかけた和紙の継承を担ってきた協力隊が任期を終えて定住するのは初めてで、400年以上ある和紙の歴史に新たなページを刻む。

 「協力隊としての約2年半はあっという間だった」。平山さんは2018(平成30)年10月に協力隊となり、紙すきの技術を高めながら、卒業証書作りや市内外での紙すき体験などに奔走し、遠野和紙の魅力を伝えてきた活動を振り返った。

 活動について時には2人の意見がぶつかり合い、協力隊を辞めることを考えたこともあったというが「夜ご飯を必ず2人で食べるという我が家のルールのおかげで会話が生まれ、前に進めた」と平山さんは明かす。

 夫婦二人三脚で始まった挑戦は、地域住民らの協力で「何人何脚になったか分からない。地域の方や行政の支援は大きかった」と綾子さんは感謝する。開店を控えた29日も、地域活性化を目指し活動する地元団体「プラクーチェ」のメンバーが準備作業を手伝った。

 工房では、遠野和紙を使って家具メーカーやブラッサムアートの作家らが作った製品を販売するほか、予約制で紙すき体験を行う。新たな地域おこし協力隊の育成、原料となるコウゾの栽培などにも取り組む。

 一方、工房だけで生計を立てるのは難しく、平山さんは5月10日から、入遠野中のスクール・サポート・スタッフとして午前中勤務した後、工房で仕事に当たる。綾子さんも地元企業に務めており、兼業となる。「長く地域に残る工房にしたい」という平山さん夫妻。「一歩ずつ頑張りたい」と将来を見据える。営業時間は午後1~6時。火、水曜日が定休。問い合わせは遠野紙子屋(電話080・4428・6397)へ。