【双葉・宿泊ルポ】帰還前進、ホテルに期待 買い物や物流に課題

 
原発事故後、双葉町で初めての宿泊施設となるビジネスホテルARM双葉=同町中野地区

 東京電力福島第1原発事故に伴い全町避難が続く双葉町に「ビジネスホテルARM(アルム)双葉」が開業し、事故後初めて一般の町民らが町内に宿泊できるようになった。記者は開業した1日、ホテルに宿泊した。宿泊拠点ができたことで帰還に向けた前進が期待される一方、まだまだ課題もあると実感した。

 ホテルが立地するのは、昨年3月に避難指示が先行解除された同町中野地区。東日本大震災・原子力災害伝承館や町産業交流センターのすぐ隣にある。開業は町内で10年ぶりとなる成人式の開催日と重なった。同センターで晴れやかな新成人を取材し、ホテルの一室で記事を書き上げた。

 南側に面した記者の部屋からは中間貯蔵施設の一部を見ることができた。山の向こうの夜空には、福島第1原発のものと思われる明かりがぼんやりと浮かんでいた。夜、周辺に人けがないのはもちろん、町内にコンビニなどはまだなく、ちょっとした買い物も不便なままだ。来年春ごろを目標とする帰還に向け、生活インフラを整えることはもちろん、安全・安心な原発の廃炉作業が大前提だと感じた。

 ホテルを開業したのは北海道帯広市のアルムシステム。夕食では、北海道のブランド米「ゆめぴりか」や十勝名物の豚丼などを味わえた。同社は今後、本県産食材も織り交ぜ、食で復興をPRしていく考えだ。ただ、今のところ冷蔵や冷凍の食材を町内に配達する業者がなく、関係者は物流に課題があると指摘する。

 伊沢史朗町長は4月28日のプレオープン式で「さらなる避難指示の解除に向けてこのホテルが大きな力になるのではないか」と述べた。宿泊環境が整ったことで出てくる新たな課題もあるだろう。こうしたものを一つずつ乗り越えることが、帰還の実現につながると期待したい。(勿来支局・本田武志)