新型コロナワクチン接種...険しい道 予約混乱など課題浮き彫りに

 
医療従事者や高齢者らを対象に県内で進むワクチン接種。連休明け以降、高齢者の接種が本格化する

 医療従事者や高齢者を対象に進む新型コロナウイルスのワクチン接種。県内でも大型連休明け以降、高齢者の接種が本格化する。先行して接種を終えた高齢者施設では安心感が広がる一方、予約の混雑や人手の確保など接種体制の課題も浮き彫りになってきた。

 「気は抜けない」

 「感染の予防対策は講じてきたが、ワクチン接種が職員、利用者、家族の一番の安心につながる」。福島市の介護老人保健施設生愛会ナーシングケアセンターで、ワクチン接種を見守った生愛会グループの本間達也理事長はそう強調した。

 同市で65歳以上を対象にしたワクチン接種が始まったのは4月19日。施設では入所者96人中90人が接種を受けた。市内では今年に入ってから高齢者施設のクラスター(感染者集団)発生も相次ぐ。体調不良などで接種ができない入所者もいたが、本間理事長は「接種をきっかけに良い方向に変わってほしい」と期待する。

 ただ、施設はショートステイも受け入れており、その利用者や職員の接種はこれからだ。外部との接触機会があり、施設内で感染が広がるリスクはゼロとはいえない。県内でも増えつつある変異株も不安材料の一つ。看護師長の女性(46)は「気が抜けない状況は変わらない」と話した。

 県内で始まった高齢者のワクチン接種だが、先行して接種を行った自治体では課題も出ている。郡山市が4月26~28日に行った2回目となる高齢者向けのワクチン接種予約では、計8785人の定員に対し、26万件を超える入電があった。配分されるワクチンが限られる中、希望者が予約しづらい状況が続く。

 同市の男性(75)はこれまで何度も電話予約を試みたが、つながらなかったという。「仕方がないので、かかりつけ医でも接種できるようになる3回目以降で受けるようにしたい」と話した。

 接種のための人手確保も課題となっている。安達地方広域行政組合は、安達医師会の医師にワクチン接種に専念してもらう体制を整えるため、同医師会の協力で設置している発熱外来を休止した。再開は秋以降となる見通しだ。休止中はかかりつけ医などで対応してもらう。

 同地方の二本松、本宮両市と大玉村は医師による個別接種が基本で、日曜日に集団接種を行う方式。発熱外来の受診者が1日平均3人程度に減っていることもあり、予防効果に期待できるワクチン接種を優先することにした。相馬市では看護専門学校の学生が、ワクチン接種に協力するなど人手不足解消に向けた取り組みも出てきている。

 頭痛める日程調整

 国からのワクチン配分も市町村を悩ませている。4月22日に高齢者施設の入所者と従事者を対象に接種を始めた須賀川市。接種自体は順調に進んでいるが、担当者は「事前に届く予定が分かっていても、実際に現物が届くまでは接種のスケジュールを組みづらい」と話す。

 トラブル回避のため、市はワクチンが実際に届いてから接種の日程を調整している。11日からは入所者以外の高齢者への接種も始める予定で、「接種が始まってから『ワクチンが足りない』では許されない」。