革製品から帆布の道へ 閉店の鞄工作社、板垣さん夫妻再出発

 
帆布バッグで再出発、「ボチボチやってきますわ」と話す板垣さん

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、昨年夏に閉店した桑折町の「鞄(かばん)工作社いたがき」が今春、オリジナル帆布(はんぷ)バッグや猫グッズ、陶器などを扱う「斑猫堂(ぶちねこどう)」として再出発した。社長の板垣良二さん(53)と妻の美穂子さん(53)が二人で新しい店を育てていく。

 いたがきは1991(平成3)年、革製品の修理専門業者として国見町で創業し、格安バッグも販売した。94年に桑折町工業団地に新社屋を設け、2009年のふくしま特産品コンクールでは板垣さんがデザインした「ティピーリュック」で大賞を受賞するなど、県内外で高い評価を受けてきた。

 だが、コロナの感染拡大で旅行する人の数が極端に減り、修理の仕事は激減した。百貨店の催事も軒並み中止となり、販売の見通しが立たなくなった。3割引きや、その後半額とした昨年の閉店セールには大勢が来場、ほんの一部を除き、商品は完売した。解雇した従業員の給料も支払うことができた。

 「あれだけ大勢の人が来てくれた。申し訳ないという気持ちがあったし、再出発したいという気持ちが強くなった」

 板垣さんが選んだ新たな道は、革から帆布への切り替えだ。革の場合、材料の傷やしわで使えない部分が約4割出るという。これまで帆布は扱ってこなかったが、何度も試行錯誤を繰り返し、オリジナルの帆布バッグが完成した。

 かつてのショールームを使った新しい店では猫が描かれたカップや皿、置物、アクセサリー、そして「渋め」の陶器も扱う。「革の財布はありますか」と来店する人もいて、板垣さんは「定着には時間がかかりますね」と苦笑いする。

 関西出身で、高校時代は名門サッカー部で活躍した板垣さん。「まぁ、ボチボチ。ボチボチやってきますわ」と、気負わず再出発への思いを語る。