コロナ変異株「悪化速い」 福島赤十字病院、迫る満床に危機感

 

 より感染力が強いとされる新型コロナウイルスの変異株の感染拡大で、県内の病床使用率は9割近くまで上昇している。感染者を受け入れる県内の病院は、限られた人員の中で、これまでにない厳しい対応を迫られているのが現状だ。医療従事者は「新型コロナに医療資源が割かれ、通常医療に影響が出ることを避けるためにも、今こそ感染防止を徹底してほしい」と、心の底から県民に協力を呼び掛ける。

 「圧倒的に悪くなっていくスピードが速い。これまでとは全く違う状況で、正直恐ろしい」。福島赤十字病院(福島市)で感染管理室長を務める医師の管野隆三さん(62)は、変異株に感染した患者が増えていることに危機感を隠さない。

 感染者を受け入れる病床18床のうち、14日時点で17床が埋まっており、空いているベッドは1床のみ。管野さんによると、変異株の感染拡大前と比べると、入院時にすでに肺炎を発症している患者の割合が高まっていて、さまざまな薬剤を組み合わせて投与しなければならない患者の数が増えたという。

 手厚い対応が必要な患者が増えたことにより、看護師の負担も増加している。感染者の病棟で看護師長を務める清和彩子さん(46)は緊張が高まっている現場の様子を語る。「急激に容体が悪くなっていくので、どの時点で対応すべきか見極めるのが難しい。逐一医師に相談し、早めに酸素を投与する指示をもらうなどしながら急変に備えている」

 これまでにない規模の感染拡大で、市外から搬送されてくる患者も増えた。遠方に住む80~90代のお年寄りが入院するケースもある。清和さんは「患者にとって長距離の搬送だけでも負担なのに、自宅から離れた知らない病院への入院を余儀なくされる。筋力が落ちて、どんどん弱っていってしまうケースが多い」と語る。

 さらに感染が拡大すれば、専用の病床を増やすことも考えなければならなくなる。手術の制限など、通常の医療に影響が出る最悪の事態も想定されるギリギリの状態だ。管野さんは、大多数の人は大勢での会合を避けるなど感染防止に協力している一方、行動を自粛しない一部の人たちから感染が拡大していくケースが想定されていることを指摘した上で、こう呼び掛けた。

 「感染が広がることで、何の罪もないお年寄りや弱者が亡くなっていく。こうした事態は医療従事者として許容できない。多くの命を守るため、今は行動を自粛してほしい」