夜8時に閉店、今は我慢の時期 福島県、緊急特別対策スタート

 
県の時短要請により、午後8時前に閉店準備をする飲食店=15日午後7時15分、郡山市

 新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けて、県の「非常事態宣言」に基づく緊急特別対策が15日からスタートした。会津若松市などすでに先行して飲食店の時短営業などを実施している地域もあるが、多くの地域では不要不急の外出自粛などを改めて意識する日となった。「いつになったらコロナ以前の生活に戻るのか」。そんな思いを抱えながら、命と健康を守るための我慢の生活が続く。

 郡山市の繁華街では、県や同市の職員らが、飲食店に午後8時までの時短営業を要請して歩く姿があった。同市大町の老舗食堂「御食事処三松会館」では、同7時15分ごろから閉店の準備を始めた。松崎昭信会長(83)は「酒の提供が7時までとなると、食事だけのお客さんが増える。そうなると、従業員の給料にも響く」と嘆く。

 月に1度、同市での仕事の帰りに立ち寄るという宮城県蔵王町の飲食店経営村上輝夫さん(68)はこの日、テークアウトを利用。「本当は店で飲みたいけど、高齢だし感染が怖い」と話した。

 「短くてごめんね」。午後8時の閉店間際、いわき市のマージャン荘「第三会議室とドラえポン」の従業員が利用客を送り出す。同店のように軽食や酒などを出す店も時短要請の対象だ。コロナ前の半分となっている売り上げは、時短営業でさらに2割減るとみている。同店を運営するチューダー(同市)の津田幸一社長(68)は「目先の利益より、利用客と従業員の健康。今は我慢の時期」と、自分に言い聞かせるように語った。

 その同時刻、3日から先行して時短要請が続く会津若松市の中心部は、週末とは思えない静かさだった。さまざまな業種の店には貼り紙があり、時短営業だけではなく、完全休業や昼間のみの営業に切り替えたことを知らせていた。

 午後8時10分、白河市の串揚げ店「申酉(さるとり)」。いつもならあるはずの、笑顔で杯を傾ける利用客の姿はなかった。店長藤田亜由子さん(41)は「県全体で感染対策をした方が効果がある」と、非常事態宣言に一定の理解を示す。同店は期間中、営業開始を1時間早める。「お客さんも応援してくれているけど、要請期間が延長されるかもしれないという不安はある」と語った。

 酒類業務卸を展開する追分(福島市)の追分拓哉社長(74)は「体力がない飲食店では諦めムードが漂っている。廃業する店も増えてきた」と語る。時短営業の協力金の制度が変わり、同社が酒を卸している小規模のスナックなどでは、減額が予想されることも不安材料という。

 「昼の飲食店も大きな影響が出ている。外出自粛が出て観光客も少ない。地元の人だけではやっていけない」。喜多方市の「食堂 松」の店主山口裕子さん(55)は表情を曇らせながら、行政の手厚い支援を求める。

 「また落ち込むかもな」。JR福島駅にいたタクシー運転手の男性(71)は不安を口にする。一時期は例年の半分以下に減少した給料が、3分の1まで回復したところでの非常事態宣言に、少し諦め顔だ。