給食苦手な子、理解して 教師向けに指導資料、ネットで無料公開

 
月刊給食指導研修資料「子どもが食べられない3つの理由」より抜粋

 給食の時間は学校生活の中でも楽しみの一つ。だが一方で、給食が苦痛に感じる児童も少なくない。そんな給食に悩む子どもたちへの理解を深めようと、教育者向けに給食指導の資料を無料で提供する活動を始めた、月刊給食指導研修資料(きゅうけん)編集長の山口健太さんに取り組みを聞いた。

 山口さんは自身も当事者だった経験から、人前で食事をすることに不安を感じる「会食恐怖症」の人たちの相談に応じてきた。その中で、発症のきっかけが子どもの頃の給食での嫌な経験にあるケースが多いことに気付いた。また、現在の教職課程には給食指導に関するカリキュラムはなく、教師たちも自身の経験を基に指導するしかなく、教育現場にも戸惑いがあることが分かってきた。

 そこで山口さんが編集長となり「楽しく食べることが、社会の幸せをつくる」という考えの下、給食指導に関する情報を発信する活動を始めた。山口さんのほか、保育士や栄養士、カウンセラーや医療従事者らが編集スタッフを務める。

 山口さんは「食べられないことはわがままではなく、その人なりの理由があり、適切な支援もあるということを広く伝えたい」と、設立の思いを語る。

 きゅうけんが発行する資料は、A4判1枚にイラスト入りで分かりやすくまとめられていて、ネット上から無料で印刷できる。学校での配布や掲示も自由にでき、すでにいくつかの学校などで採用されている。

 例えば資料によると、給食が食べられないことには感覚的、機能的、精神的の三つの理由があるという。

 しかし教師らが「残食を出さないように」「苦手な食べ物に挑戦してほしい」などの思いから、つい無理強いをしたり厳しい口調で注意したりしてしまうと、食べることへの苦手意識がますます強くなってしまう。また、これらの行為は場合によっては体罰にも当たるので、行ってはいけない。

 このほかにも、会食恐怖症についての解説や、完食指導が子どもに与えるプレッシャーなどをテーマにした資料を発行している。「資料を通して、食べられない子どもたちへの適切な対処の仕方が、先生たちの間で共通認識として広まってほしい」

 最後に、給食を巡る理想の未来像を聞くと「子どもたちにとって、給食は食べる楽しさを知る場所になってほしい。食べるのが好き、食べることは楽しいという感情を体験してもらいたい」と語った。

 月刊給食指導研修資料(きゅうけん)のURLはhttps://kyushoku.kyo‐shi.co.jp/。「きゅうけん 給食」でも検索可能。

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 やまぐち・けんた 月刊給食指導研修資料(きゅうけん)編集長、日本教育資料代表取締役、日本会食恐怖症克服支援協会代表理事。盛岡市出身。高校生の時に会食恐怖症を発症した経験を持つ。講師活動や執筆、カウンセリングのほか、安心できる居場所づくりの「食べなくてもいいカフェ」を都内で運営。