吉永小百合さん「寄り添う大変さ知った」 映画「いのちの停車場」

 

 小さな診療所を舞台に、命に寄り添う医師と、避けられない死を迎える患者と家族が、それぞれの立場から病と向き合う姿を描いた映画「いのちの停車場」が21日、東映系で全国公開される。郡山テアトルで行われた試写会に出席した主演の吉永小百合さん、柳葉敏郎さん、成島出(いずる)監督に、作品に込めた思いを聞いた。

 ―吉永さんにとって映画出演122本目となる今作が、初の医師役。どのような思いで撮影に臨みましたか。
 吉永 患者さんの病気を受け止め、寄り添うことがいかに大変なことかを知りました。今はコロナのこともあるので、実際に現場で取材をすることができません。だから、在宅医療の先生方に器具の扱い方をお伺いしたり、患者さんの思いを伺ったり、本を読んだりしました。

 ―監督と吉永さんは以前、映画「ふしぎな岬の物語」でご一緒された。その後監督は闘病され、その間にも吉永さんとの交流があったと聞きました。
 成島 肺がんになり、1年以上現場から離れていた。その間に吉永さんからお守りとともに「必ず良くなって戻って来てください。またご一緒しましょう」というお手紙をいただいた。その優しい言葉が、大先輩の言葉というよりも、同じ映画のチームの仲間という感じがして、涙が止まらなかった。それが映画の(吉永が演じる主人公)咲和子(さわこ)先生の優しさやおおらかさにつながっていると思う。

 ―この作品から伝えたいことは。
 成島 この映画は死を扱っているが、生きることや希望、笑いとか、人間のありようを収めようと思った。コロナ下での公開となるが、映画は不要不急じゃないんです。映画館という"こころの停車場"が必要なんだということを信じて、この作品を届けたい。

 ―県民へメッセージをお願いします。
 柳葉 この作品に携わり、自分の中に「小さいけれどしっかりと覚悟を持って、その先にある大きな希望に向かっていきましょう」という言葉が生まれました。また、この作品から、家族や仲間、人の愛情について、あらためて感じていただけたらと思います。

 吉永 震災と原発事故から10年たちましたが、まだまだ古里に帰れない方もいらっしゃる。再び皆さんが集い合うことができるよう、私たちが声を出してサポートをすることはとても大事だと思っています。前を向いて歩く皆さんを、私たちも後押ししたいです。

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 映画「いのちの停車場」あらすじ 東京の救命救急センターで働いていた咲和子(吉永小百合)は、ある事件をきっかけに、故郷である金沢の診療所で在宅医師として再出発をする。さまざまな事情から在宅医療を選んだ患者と出会い、戸惑いながらも、いのちの輝きに寄り添っていく。その時、最愛の父が倒れてしまう。吉永、柳葉のほか、西田敏行、松坂桃李、広瀬すずらが出演する。