震災、台風...それでも花咲かせる 新地に植物園、開設10年に思い

 
園内で咲くバラを手入れする荒さん。「癒やしの空間を守りたい」と話した

 新地町の植物園「海のみえるガーデン花木山」が開園10周年を迎えた。地震や台風など自然の脅威に向き合いながら、花木を育て続ける開設者の荒正治さん(70)は「10年は無我夢中、あっという間だった」と振り返る。

 鹿狼山登山口にあり、太平洋を見渡せる園内にはバラだけでも約110種類200株以上ある。この時期、荒さんは草取りや花の手入れに余念がない。ただ「元から(花に)関心はなかったんだ。花といえば桜しか知らなかった」と笑う。

 花に目を向けるきっかけは、亡くなった父が育てていた鉢植えのバラを畑に移植したことだった。放っておいても花を咲かせるけなげな姿に心引かれた。「それから自己流で育て始めた。いつの間にか、自然に花屋に足が向くようになった」と話す。

 57歳で病院の事務職員を早期退職し、植物園の整備を決意。3年間準備を重ねたが、開園を間近に控えた2011(平成23)年3月に東日本大震災が発生、園内に地割れが走った。町内に住む荒さん自身も被災したが、3カ月間庭園の修築を続け、同年6月、オープンにこぎ着けた。

 その後も、災害に翻弄(ほんろう)された。19年の東日本台風(台風19号)で園内に多量の土砂が流入、今年2月の本県沖地震では管理棟の備品が破損した。さらに新型コロナウイルスで10周年の記念イベントも取りやめを余儀なくされた。それでも、草木は季節を迎えると、手間を惜しまない荒さんに応えるように花を咲かせ続ける。

 同園では今、バラが咲き始めた。25日~6月10日ごろ、見ごろを迎える。「地震やコロナですさんだ雰囲気になりがちだ。だからこそ、せめて癒やしの空間を守りたい」とする。

 同園は常磐道新地インターチェンジから車で約5分の新地町杉目字飯樋50にある。開園時間は午前9時半~午後4時。不定休。入園料は大人300円、中学生100円。問い合わせは同園(電話090・2846・7183)へ。