富永一朗さん死去、塙町民と交流30年 「漫画通し人々に力」

 

 風刺とナンセンスを効かせた作品で人気を集めた漫画家の富永一朗(とみなが・いちろう)さんが5日、老衰のため死去した。96歳。京都市出身。葬儀は近親者で行った。

 富永さんと生前に、漫画を通した町おこしで親交のあった塙町の関係者は突然の別れを悲しんだ。

 約30年前、漫画による町おこしを進めていた塙町。その頃、富永さんがテレビ番組で、自身の原画を希望する個人や団体に寄贈すると発言した。人づてにその意向を知った同町の芳賀正光さん(69)は「原画を町おこしのために寄贈してもらいたい」と1993(平成5)年、直接富永さんに連絡。その後、交流が始まった。原画展や富永さんを名誉審査委員長に迎えた「はなわハガキ漫画グランプリ」を毎年開催するなど、関係は続いた。「先生との交流があったからこそ町おこしだけではなく自分の仕事も励みになった。亡くなったと聞いて、自分の親が亡くなったと同じくらい悲しい」と、芳賀さんは残念がった。

 漫画による町おこしを進めている、町内有志でつくる「富永一朗はなわ発祥塾」の塾長緑川孝司さん(68)は「心優しい人だった。一生懸命生きてこられたと思う。亡くなられて大変残念に思う」と悲しんだ。町の広報として富永さんと関わっていた元町職員天沼恵子さん(62)は「地域の活性化を考え、漫画を通して人々に生きる力を与えてくれた」と悼んだ。