営農再開、水田に「昆虫」戻る 福島県8市町村、44カ所を調査

 
営農再開後の水田で確認された水生昆虫の標本。国や県が準絶滅危惧種に指定するケシゲンゴロウなども確認された

 東京電力福島第1原発事故による避難指示などで営農を一時中断した水田で、営農再開後に水生昆虫などが多数確認され、生物の多様性が保たれていることが24日までに、県農業総合センター浜地域研究所(相馬市)の調査で分かった。

 生物多様性は栽培環境の安全性の指標として活用されることから、同研究所は調査結果を県産米の風評払拭(ふっしょく)に役立てたい考え。

 県内8市町村の水田44カ所で2018~20年度に調査を実施。昆虫などの個体数をスコア化して評価する農林水産省の「農業に有用な生物多様性の指標生物調査・評価マニュアル」に従って調査した。

 44カ所の水田を〈1〉営農を中断し、表土はぎ取りや客土あり〈2〉営農を中断し、表土はぎ取りや客土なし〈3〉営農を継続し、表土はぎ取りや客土なし―の三つに分類して調べた。

 〈1〉と〈2〉では営農を再開した年から多くの生物が確認され、生物多様性が高い「Aランク」と判定された水田が半数余りを占めた。Aランクの割合は〈1〉〈2〉〈3〉に大きな違いを確認できず、営農中断の影響はみられなかった。

 調査の代表を務めた県農業総合センター浜地域研究所専門員の三田村敏正さん(61)は「生き物は営農中断している間も、近くの水たまりなどで生息し、再開と同時に飛来してきたのではないか」と指摘した。

 営農を再開した水田では、西日本で生息数が減少しているアキアカネなどが確認され、移動性の高いコミズムシ類やヒメアメンボなどが多かった。

 三田村さんによると、環境保全への関心の高まりなどを受け、水田の生物多様性をアピールするブランド米もあるという。「原発周辺の水田でコメづくりが再び始まっても、風評はまだ根強い。営農が再開された水田に多くの生き物が戻っていることを伝え、安全性への理解につなげたい」と話した。