「クマ出没」気を付けて 最多ペース、阿武隈山地の生息域拡大

 

 野生のクマが活動期に入り、県内で目撃が相次いでいる。県警によると、目撃件数は52件(23日現在)で、過去最多の件数となった昨年と同水準で推移している。今月に入り、これまで目撃が少なかった阿武隈山地沿いの田村市内でも捕獲されるなど生息域が拡大しており、県警などは「これまで出没していた地域も、そうでない地域でも気を緩めず対策してほしい」と注意を呼び掛ける。

 県警や県など関係機関は危機感を募らせている。会津美里町で23日に今年初めての人身被害が発生し、県はクマ出没注意報を「特別注意報」に引き上げて警戒を強める。

 県自然保護課によると、今年は春先の気温が高かったため、冬眠から目覚めたクマの動きだしが早く、2、3月ごろから目撃情報が寄せられているという。

 関係者が近年、特に懸念しているのが生息域の拡大だ。かつては中通りと浜通りの間を南北に走る阿武隈山地に「クマは生息しない」といわれていたが、近年は目撃されることが多くなった。

 田村市船引町の永谷地区では19日、イノシシ用の箱わなでツキノワグマ1頭が捕獲された。市農林課によると記録が残る05年以降では、市内初の捕獲となった。これまでは「クマの足跡らしきもの」の情報提供が数件あった程度。担当者も「人目を避け、どうやって入り込んできたのか。見当が付かない」と話すほどだ。

 阿武隈山地でのクマの捕獲は、二本松市で捕獲された2件に続き、今回の田村市で3件目。県自然保護課の担当者は「阿武隈川を渡って阿武隈山地に移動する行動パターンができており、生息域も広がってきているのではないか」と分析する。

 住民高齢化、里山の管理難しく

 県野生生物共生センター(大玉村)を拠点に活動する県野生動物調査専門官の溝口俊夫さんはクマの生息域について「阿武隈山地沿いにも広がっているのは確か。人間とクマの生息域の緩衝地帯となっていた里山の管理が、住民の高齢化などで行き届かないことも要因の一つとなっている」と指摘する。

 近年は市街地や、これまで目撃されていなかった地域での出没も目立っており、溝口さんは「予防策として、クマの足跡などの形跡を発見したら、すぐに行政に連絡してほしい」とし「好物のトウモロコシやスイカ、米ぬかなどは野ざらしにしないことが重要。保管する場合には電気柵を設置することも有効だ」と話す。