修復映像に田山花袋の姿確認 久米正雄撮影、横浜市立大が成功

 
横浜市立大が修復したフィルムに映る久米正雄(右)と田山花袋(郡山市提供)

 郡山市ゆかりの作家久米正雄(1891~1952年)が撮影し、「蒲団(ふとん)」や「田舎教師」などの作品で知られる作家田山花袋(かたい)らを収めた映像フィルムの修復に横浜市立大が成功した。同大によると、田山の姿が映像資料で確認されるのは初めてとみられ、近代文学史や風俗研究の対象として高い価値があるという。修復に当たった同大の庄司達也教授(日本近代文学)らが26日、オンラインで品川萬里市長に成果を報告した。

 修復したのは、久米が大正末期~昭和初期に撮影し、同市の「こおりやま文学の森資料館」に所蔵されているフィルム。劣化で全容を把握できない12本中2本について同大が市との協定に基づき作業を進め、2本とも修復に成功した。

 修復できた1本は1924(大正13)年4月24日の撮影とみられ、約50秒の動画に、川崎市の多摩川河畔で遊行する田山や久米、里見トン(とん)ら十数人の文学者の姿があった。もう1本は同年夏ごろの撮影の可能性が高く、東京都世田谷区の多摩川河畔で屋形船に乗り込む久米らが約16秒にわたり映っていた。

 映像は6月にもこおりやま文学の森資料館で公開する。市は今後、残る10本についても修復が可能かなどの調査を進めるという。

 庄司教授は成果報告で「田山の姿が動画として残っているのは近代文学史の一つの事件だ。郷土史などを含めたさまざまな研究に貢献する可能性がある」と意義を強調した。