福島「花の写真館」が29日復活 被災後の解体危機乗り越え

 
会場には秋山氏愛用のカメラが展示されている。左は秋山氏の孫の秋山啓佑さん(秋山庄太郎写真芸術館学芸員)

 東日本大震災で被災し休館していた福島市森合町にある築99年の「福島市写真美術館」(愛称・花の写真館)が29日、復旧や耐震工事を経て正式開所する。同日から6月末まで、福島ゆかりの写真家故秋山庄太郎氏の生誕100年写真展「花信(だより)」が開かれる。

 同館は1922年、旧逓信省電気試験所福島出張所として建てられ、65年に後継組織の日本電気計器検定所福島試験所になった。その後、一時空き家となったが、市が譲渡を受けて2002年に市有形文化財に指定した。

 03年に1階部分を復元整備し、秋山氏の写真などを展示するための写真美術館として開所した。

 建物は石造りという特殊構造のため、震災被害を受けて市は一時、解体する考えだった。だが、有志による保存運動や専門家でつくる検討委員会の提言を受け、一転して建物の修復を決めた。文化財価値を損なわない手法を使って耐震補強工事を施し、全館が公開、利用できるようになった。

 秋山氏は昭和50年代に花見山を初めて訪れ「福島には桃源郷がある」の名言で全国に紹介した。花見山は全国区となり、市がその功績に感謝して01年に「市ふるさと栄誉賞」を贈った。

 展示では、秋山氏が初めて撮った写真から晩年の写真までのほか、花見山などの花の写真、著名人の写真など約100点が並ぶ。愛用のカメラ、書、秋山氏の生涯を紹介するパネルもある。
 無休。観覧無料。問い合わせは同館(電話024・563・4990)へ。

◆「福島に特別な思い」 秋山庄太郎写真芸術館長・上野氏

 写真展に協力している秋山庄太郎写真芸術館(東京)の上野正人館長(66)は「(秋山氏は)県民の招きで福島で撮影を始めた。桃源郷と例えた花見山と出会い県内各地で撮影した。晩年のテーマの一つに『福島』を掲げるほど特別な思いを抱いていた」と語った。

 秋山氏は女優ポートレートや花の写真で知られる。特に花の作品は本や商品デザイン、映像など多様性が特徴。「秋山作品は多様で、みんなが親しめる裾野の広さがある。秋山が気に入ったこの美術館が今後、多方面で活用されれば、きっと本人も喜ぶはずだ」と10年越しの再開館を歓迎した。