「ワクチン製造工場」南相馬に新設 米製薬から受託、23年稼働へ

 

 医薬品受託製造のアルカリス(千葉県)は遺伝物質のメッセンジャーRNA(mRNA)に特化した医薬品やワクチンの製造工場を南相馬市原町区の下太田工業団地に新設する。mRNAは米ファイザー製など新型コロナウイルスのワクチンで注目される先端技術で、製造工場の建設は日本で初めて。新型コロナのワクチン製造も計画しており、工場が稼働すれば本県発として世界に提供される。

 アルカリスは、医薬品に関する研究データや設備を提供するなど創薬支援を行うアクセリード(神奈川県)と、mRNA医薬品を開発する米バイオテクノロジー企業のアークトゥルスが4月に設立した。アクセリードによると、mRNA医薬品は今後の医薬品開発の主流になるとみられるが、極めて難度が高いとされる原薬の製造技術を有するのが世界で数社しかなく、日本国内での製造が進まない要因となっていた。

 アークトゥルスが開発中のワクチンはシンガポールで臨床試験が進行中。開発に成功すれば1回の接種で効果が期待できるとしており、南相馬の工場でワクチンを受託生産する。

 工場の敷地面積は2.3ヘクタール。原薬製造施設のほか製剤、研究、物流の各施設を備え、医薬品やワクチン開発の注文を受けて開発から商用生産までを請け負う。原薬製造施設は2023年の稼働予定で、製剤、研究、物流の各施設が全て完成するのは25年としている。投資額は23年までで約100億円。雇用については未定だが、現地採用を進めていくとしている。

 「復興にも貢献」

 南相馬への工場進出により、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想を推進する狙いがあり、アクセリードの藤沢朋行社長は27日のオンライン記者会見で「mRNAワクチンの有効性、安全性はファイザー製やモデルナ製で実証されており、製造ニーズは拡大する。世界に冠たる製造拠点に成長すれば、東日本大震災からの復興にも貢献できる」と語った。門馬和夫南相馬市長は「復興や地域経済の活性化につながると期待している」と話した。