「万世大路事業誌」刊行 二ツ小屋隧道保存会、原文に注釈や解説

 
「万世大路事業誌」の発行を報告する守谷さん(左)と高橋さん

 福島市と山形県米沢市を結ぶため明治初期に整備された栗子峠の「万世大路」にまつわる明治期の福島県庁文書の原文に、注釈や解説を加えた冊子「万世大路事業誌」が刊行された。万世大路の保存活動に取り組む「二ツ小屋隧道保存会」(鈴木信良会長)の事業。

 冊子は県文化財保護審議会委員の守谷早苗さん(69)が執筆した。万世大路のルート選定や工事の進め方、用地の補償、工事の死傷者の対応などを県庁や国とのやりとりを含めてまとめている。元々は万世大路と名付けられた1882(明治15)年に発行されている。
 守谷さんは「明治期の公共事業の公務災害や医療システムが解明できる一級品の資料。興味があればぜひ研究などに活用してほしい」と語った。同保存会事務局長の高橋一夫さん(75)は「福島の近代化を物語る万世大路の歴史を多くの方に知ってほしい」とした。

 冊子は販売していない。同保存会が県内の図書館や福島市内の各学習センターなどに寄贈している。

 万世大路は、福島・山形の発展に向けて両県が1876~77年に着工。当時日本最長の「栗子隧道」などトンネル5本、橋30カ所以上などの大規模工事を進めて81年に開通した。昭和初期から改良されたが、国道13号整備に伴って昭和40年代に廃道となった。