傷あり果物を活用、飯坂特産目指す 異業種連携、まずはシードル

 
これまで廃棄されていた果物の有効活用について話し合う「ふくしまRISE」のメンバー

 これまで廃棄されたり、安値で買い取られたりしていた「傷物」の果物を有効活用し、果実酒などにして地元の旅館や飲食店で提供する取り組みが福島市の飯坂温泉で動きだした。異業種の7人が出資し、合同会社「ふくしまRISE(ライズ)」を設立した。

 原発事故の風評被害に苦しむ果樹農家と、コロナ禍で苦境に立つ旅館や飲食店。ふくしまRISEは双方をつなぐ機能を果たしながら、「フルーツ」を前面に出した地域活性化に挑戦する。

 社員が着目したのは、少しの傷で出荷できず廃棄されたり、規格外や落果のため安い値段で取引されたりするリンゴやモモ、サクランボなどの果物だ。果樹農家が独自にジュースなどに加工するケースもあったが、販路は確立されていなかった。

 ふくしまRISEは、リンゴを発酵させた果実酒「シードル」を手始めとし「飯坂でしか味わえない」商品を開発する構想を描く。シードルに限らず菓子店と共同開発するスイーツなど観光資源にもなる果樹地帯ならではのオリジナル商品を生み出す考え。類似商品との差別化を図りながら、異業種が地域を挙げて協力できる体制づくりを目指していく。

 第1弾のシードルは製造委託先との調整が進んでいる。「くだもの王国」で生まれた商品を温泉街の旅館や飲食店で提供、観光客においしさをアピールする取り組みは、プランの練り直しを繰り返しながら前に向かっている。

 地域の観光資源の磨き上げを通じた連携の実証事業として、観光庁の支援事業にも採択された。代表社員を務める阿部寛さん(53)=なかむらや旅館=は「風評払拭(ふっしょく)も含め、RISEには『立ち上がろう』との思いを込めた。コロナ禍の今だからこそ立ち上がる」と意欲を燃やしている。