支援、受ける側から「する側」に 矢吹の授産施設、ガウンなど製造

 
出荷前の医療用白衣をチェックする施設利用者。製品を使う病院からは感謝の手紙が届き、利用者の意欲は高まっている

 新型コロナウイルスの流行により需要が高まった医療用品の製造に力を入れ、医療現場を支える授産施設が矢吹町にある。製品はマスクやフェースシールド、医療用ガウン(予防衣)、白衣など。実際に使う病院から感謝の手紙が届き、利用者たちは「支援を受ける側から、支援する側になりたい」と意欲を高め、作業に取り組んでいる。

 製造しているのは、社会福祉法人矢吹厚生事業所わーくる矢吹(矢吹授産場)。作業場に入ると、利用者が医療用白衣の出荷前の製品チェックを入念に行っていた。

 施設長の小林香さん(47)は「利用者にとっても『自分たちも人の役に立てるんだ』という意欲につながっている。作業が多くても、みんな弱音を吐かず頑張ってくれている」と目を細める。

 事業所では、身体や精神上の理由から一般企業への就職が困難な障害者や生活困窮者が、一般企業でも働くことができるように就労訓練を実施。町内や近隣市町村から10~80代までの利用者65人が通っている。新型コロナの流行前までは、幼稚園児向けの制服やスモック、学校の給食衣などの縫製作業をメインとし、弁当販売や近隣企業の清掃などを行っていたが、感染拡大で仕事内容は一変した。

 医療用ガウンなどの需要が高まり、縫製作業の技術がある事業所にも声が掛かった。海外工場への発注が増えて国内の縫製業者の数も減少していたことも重なり、数多くの仕事が舞い込んできたという。

 2月までに、医療用ガウン1万1000枚、フェースシールド6000個などを製造した。利用者の一人、杉山幸子さん(70)は「忙しい時期もあったが、自分が作ったものが医療現場で実際に使用され、役に立っていることを考えると頑張れる」と作業に打ち込む。

 製造したフェースシールドを使用する県内にある複数の病院から「深く感謝する」「遠慮なく、大切に使用させていただく」などと書かれたお礼の手紙も届き、利用者の意欲がさらに高まった。

 多くの感謝の声に、利用者の星チヨ子さん(76)は「こうした手紙をいただき、感謝されるのは励みになる。ここで製造しているということが自慢になる」と笑顔を見せる。

 今後も市場の流通量や需要に合わせて医療用品の製造を進めていく予定だ。施設長の小林さんは「製造現場での努力が高まったこの1年。利用者も弱音を吐かずに作業してくれた。これからも手を取り合って、前向きに進んでいきたい」と語る。