糖尿病増加傾向、避難要因わずか 南相馬市民の健診データ比較

 

 南相馬市立総合病院や福島医大などの研究者でつくるチームが、震災・原発事故前後の2010年と17年の南相馬市民の健診データを比較したところ糖尿病が増加傾向にあり、避難を経験していてもしていなくても病気になるリスクに大きな差がないことが分かった、との調査結果をまとめた。3日までに学術誌に発表した。

 研究チームは南相馬市立総合病院地域医療研究センターの野村周平氏や、福島医大放射線健康管理学講座の坪倉正治教授らでつくる。

 坪倉教授は、生活環境の変化に伴い被災地で糖尿病が増え、特に避難経験が増加の要因として大きいと考えられてきたことを指摘した上で、「震災から長い時間がたち、避難による影響は見えづらくなってきた。全体として糖尿病が増加傾向にあることに変わりはないので、避難の有無にかかわらず対策を講じることが必要だ」と話している。

 研究チームは10年と17年に市が実施した特定健診を受けた市民1837人のデータを分析。採血データから糖尿病、高脂血症、高血圧を定義した。

 市民を震災・原発事故後避難しなかったグループと避難したが1年後の12年に帰還したグループ、13~15年に帰還したグループ、16~17年に帰還したグループ、17年時点で避難したままのグループに分け、違いを調べた。その結果、どのグループも糖尿病の有病率は高まった。一方、高血圧の有病率は減少傾向を示し、高脂血症の有病率は顕著な変化はなかった。

 研究チームは高血圧の減少傾向について、今回の分析が降圧剤の使用の有無を考慮していないため、震災・原発事故後に高血圧となる人が増えたものの、降圧治療で十分コントロールされていることを反映している可能性もあるとした。