美しい里山を後世に、いわきの福島さん コットン有機栽培で保全

 
オーガニックコットンの栽培に取り組む福島さん

 いわき市四倉町の農業福島裕さん(72)は、農園「天空の里山」で有機栽培によるオーガニックコットンの生産に取り組んでいる。福島さんが抱くのは「後世に美しい里山を残したい」という思い。活動に賛同し、全国から2千人を超えるボランティアが畑作りや収穫に訪れるようになり、里山を支える活動が広がりを見せている。

 天空の里山は、森に囲まれた山の中腹にぽっかりと広がる農園。同市四倉町柳生中山地区の住民が農地として土地を所有しているが、高齢化や東京電力福島第1原発事故の影響でその多くが農業を"引退"。耕作放棄地となり荒廃が危惧される中、福島さんが土地を託された。現在、約3・3ヘクタールを福島さんが維持、管理している。

 東京都出身の福島さんは1987(昭和62)年、妻清子さんの実家がある同市四倉町に移住。定年退職後、清子さんの母の土地を継ぎ農業に従事していたが、原発事故の影響で一時は農産物が出荷できなかったり放射線物質検査を強いられるなど苦境に立たされた。福島さんは「深刻な体験を通じて自然環境を守る大切さを実感した」と振り返る。

 自然を守りたいと、農薬などを使わない有機栽培に興味を持つようになった。その中で、NPO法人ザ・ピープル(いわき市)の吉田恵美子理事長の活動に共感し、同NPOが進める「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」への参加を決めた。

 プロジェクトの一環で全国からボランティアを募ると活動当初の2014年は500人ほどだったが、19年には約2300人が訪れるようになった。半数以上はリピーターとして毎年足を運ぶ。毎年収穫される約500キロ~1トンのオーガニックコットンは、市内の企業が製造、販売するオリジナルブランドの服やタオルに活用されている。

 新型コロナウイルスの感染拡大で全国から訪れるボランティアは少なくなっているが、今後も活動を拡大していく考えだ。福島さんは「まだまだ軌道にのっているとは言えないが、諦めずに続けていきたい」と前向きに取り組んでいる。