復興観光に「周遊バス」定期路線化へ いわきと双葉郡のルート

 
定期観光周遊バスの発着点として想定されるJRいわき駅周辺

 いわき観光まちづくりビューロー(いわき市)は、復興の歩みを発信する「ホープツーリズム」として市内のほか双葉郡の震災伝承施設を加えたルートを設定し、観光周遊バスの定期路線化に向けた実証事業に乗り出す。新型コロナウイルス収束後を契機と捉え、震災後の10年で整備された施設の周遊ルートを確立することで観光、宿泊客の取り込みにつなげる。

 実証事業は観光庁の風評対策の補助を受けて実施する。ホープツーリズムのルートとして、いわき震災伝承みらい館(いわき市)に加え、東日本大震災・原子力災害伝承館(双葉町)、東京電力廃炉資料館(富岡町)などの周遊を想定。震災について伝える「語り部ガイド」の起用も見据える。

 交通事業者や関係施設と協議して内容を固め、夏から秋にかけて実証運行する。乗車料は無料とする方針で、乗客へのアンケートを基にルートの見直しを図り、結果を見ながら事業者による来年度以降の本格運行を目指す。

 実証事業は新型コロナ収束後に想定される観光などの「リバウンド需要」を見込んだ動き。また震災後に各地で震災伝承施設が整備されたが、広域周遊ルートは確立されていないため、浜通りエリア全体の施設活用も課題だった。同ビューローは「復興に向かう施設や風景を見てもらい、風評払拭(ふっしょく)につなげたい」としている。

 定期観光「20年ぶり復活」を

 いわき観光まちづくりビューロー(いわき市)が行う観光周遊バスの実証事業は、市内の観光施設や資源を活用したルートも設定し、約20年ぶりとなる市内の定期路線復活も目指す。新型コロナウイルス収束後に、震災や感染症拡大で疲弊する交通や宿泊などの観光関係事業者の後押しを図る考えだ。

 いわき市内のルートは、廃止前の観光バスで周遊していた塩屋埼灯台や三崎公園など市内有数の観光スポットが候補となる。また4月に小名浜港で就航した海上観光遊覧船「サンシャイン シーガル」を組み込むことも検討される見込み。

 発着はJRいわき駅や湯本駅、スパリゾートハワイアンズなどを想定。実証事業に合わせ、バスなどに乗車し、地域の魅力について案内できる観光ガイドの育成事業にも取り組む。

 県の調査では、2020年度の浜通り地方の宿泊日数は1泊のみが73.2%と圧倒的に多かった。実証事業には、滞留時間の長期化に向け、宿泊客を中心にした連泊の動機付けの狙いもあるという。

 市内の定期観光周遊バスは、1966(昭和41)年から2000年まで運行されていたが、事業者によると客数などの課題から途絶えていた。その後は映画「フラガール」効果などでスポット的な観光バス運行はあったが、震災や原発事故の影響もあり、定期路線の復活には至っていなかった。今回の実証で収益性や事業性が確保されれば、本格運行の可能性が高まる。

 いわき観光まちづくりビューローの緑川隆之DMO推進課長は「交通事業者だけでなく宿泊、施設などあらゆる関係者に協力を求め、定期観光バス復活を目指したい」と話した。