「家族の夢、全て奪われた」 三春ひき逃げ殺人、遺族が意見陳述

 

 三春町で昨年5月、道路で清掃作業中の男女2人を故意にトラックではねて殺害したなどとして、殺人やひき逃げの罪に問われた本籍伊達市、住所不定、無職盛藤吉高被告(51)の裁判員裁判第3回公判は9日、地裁郡山支部(小野寺健太裁判長)で開かれた。死亡した男性=当時(55)=の妻が涙ながらに「私たち家族の夢は全て奪われた」と意見陳述した。

 男性の妻は被害者参加制度を利用して出廷。長男に付き添われながら証言台の前に立ち、刑務所に戻るために2人をひき逃げしたとする盛藤被告を前に「犯人の夢をかなえるような判決だけはやめてください」と訴えた。

 被告の厳罰を求める約1万4000人分の署名を踏まえ、「皆さんの心情を考慮し、厳格な判断をお願いします」と述べた。

 さらに「もし刑務所を出所したら、また罪のない誰かを傷つけ刑務所に戻ろうと同じことを繰り返す」と非難し「盛藤被告は自分の夢をかなえるため、普通では考えられないほどの恐怖と痛み、絶望を与えた」と男性の思いを代弁。「大切な主人を返して」としゃくり上げると傍聴席からもすすり泣く声が聞かれた。

 また検察官は、もう1人の被害者の女性=当時(52)=の弟の意見陳述書を「失うものがないからと言って、何ら関係のない2人を犠牲にしたことは許し難い。民意が感じられる判決を望む」などと読み上げた。

 盛藤被告はこの日も小声での供述が目立った。意見陳述に先立ち行われた被告人質問では、遺族への心情を問われ「自分勝手な考えで大変な事件を起こし、申し訳ないと思っている」などと述べた。

 意見陳述の最中は背中を丸めて目を閉じ、終始うつむいていた。次回は11日午前10時から論告求刑公判が開かれる。