福島県、水素社会の柱に 再エネ推進ビジョン、実現へ利活用重点

 

 県は、本年度から10年間を期間とする次期「再生可能エネルギー推進ビジョン」の新たな柱として、「水素社会の実現」を掲げる方針を固めた。政府が2月に改定した「福島新エネ社会構想」を踏まえ、再エネ由来水素の利活用を重点的に進めることで、2040年に県内エネルギー需要の100%以上を再エネから生み出す最終目標の達成に向けた動きを加速させる。

 産学民官連携組織「県再生可能エネルギー導入推進連絡会」が10日開いたウェブ会議で、県が次期ビジョンの基とする提言案を示した。提言案では「水素社会の実現」を新たな柱と位置付け、水素利用の意義について、利用時に二酸化炭素を排出しないことやエネルギーを長期間貯蔵できること、再エネ導入を支える柱となることなどを明記。水素ステーションや水素で走る燃料電池車の普及、利活用モデルの構築、関連産業の育成・集積などに取り組む重要性を盛り込んだ。

 県内では、浪江町の製造拠点「福島水素エネルギー研究フィールド」で再エネ由来の水素が造られているほか、トヨタ自動車と県が中心となって燃料電池トラックの物流実証の構想が進むなど「水素社会」に向けた動きが活発化している。一方、水素利用に関する明確な目標については設けられていないため、連絡会は「水素社会」の具体的な姿や数値目標を定めるよう県に求める。

 連絡会はこのほか、40年の最終目標を着実に実現するため、次期ビジョンが終了する30年度までの中間目標を現行の「60%」から「70%」に引き上げることや、進行度を分かりやすく示すため県内の電力消費量と再エネで生み出した電力量とを比較した指標を設定する必要性を指摘した。50年までに本県の温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル宣言」に基づき、政府に先駆けて本県の取り組みモデルを発信していくことも重要だとした。

 連絡会は7月中に県に提言書を提出する予定。県は、提言を基にビジョン案を作り、意見公募を行った上で年内にビジョンを策定する。

 県は「再エネの導入推進や関連産業の集積に加え、持続可能なエネルギーシステムの構築や水素社会実現に向けた取り組みを進め、目標達成を目指す」(エネルギー課)としている。