温泉やカヌー体験...誘客へ大川ダム活用 河川事務所と芦ノ牧温泉

 
緑に囲まれ、四季折々の自然が楽しめる大川ダム。芦ノ牧温泉と連動した観光誘客が期待される(上)ダム周辺の豊かな自然をイメージし、野菜をふんだんに使った「大川ダムカレー」の試作品

 本県屈指の観光地・会津に新たな魅力が加わるか―。国土交通省阿賀川河川事務所は、芦ノ牧温泉観光協会と協力し、大川ダム(会津若松市、下郷町)を活用した地域活性化に乗り出す。温泉地から車で5分という立地を生かし、宿泊客を対象にしたカヌー体験やダム内部の見学ツアーなどを企画する予定だ。治水や利水に役立つダムを観光拠点としても位置付け、「アフターコロナ」を見据えた観光誘客につなげていく。

 大川ダムは、阿賀川につくられた堤高75メートルの多目的ダムで、ダム湖の周りには公園や遊歩道も整備されている。自然豊かな癒やしのスポットとして親しまれ、新型コロナウイルスの感染拡大前は年間1万人が訪れていた。しかし、現在は来場者が大きく減っている。

 国交省は全国各地で、ダムを観光資源として活用する「ダムツーリズム」を進めている。「なんとか大川ダム周辺にも人の流れを」と考えた阿賀川河川事務所が、パートナーとして選んだのが、地元の芦ノ牧温泉観光協会だった。事務所の呼び掛けに協会は「話題づくりになるし、今まで温泉に来なかった観光客の掘り起こしにもつながる」と考え、協力体制が整った。

カレーも開発、7月から提供

 全国には、壮麗な建造物であるダムそのものを愛する「ダム愛好家」が数多く存在する。企画の第1弾として計画されたのが、大川ダムの見学に訪れる人の心をつかむような「大川ダムカレー」の開発だった。2カ月の試行錯誤を経て、23日には試作品のお披露目会が開かれた。

 大川ダムカレーはダム本体と導水路でつながる大内ダム(下郷町)をイメージしてご飯をL字形に盛り付けたほか、野菜をふんだんに使ってダム周辺の四季折々の風景を表現した。子どもでも食べられるよう甘口のポークカレーとし、試食した関係者の間からは「食べやすくておいしい。芦ノ牧温泉の新しい名物になりそう」と期待の声が上がった。

 ダムカレーは7月中旬から、芦ノ牧温泉の大川荘が運営する飲食店「DECCORA(デッコラ)」で提供される予定だ。動きだした大川ダムを軸にした新たな観光刺激策。同温泉観光協会の佐藤直(なおし)事務局長は「アフターコロナに向け、連携を強めて観光客を呼び込む仕組みを増やしたい」と力を込める。

 同事務所は今後も、地元の自治体や交通業者などと連携してカヌーなどの体験活動を充実させ、水資源を活用して人を呼び込む仕掛けを整えていく構えだ。岸田秀所長は「観光活性化につながるだけでなく、地元住民が大川ダムに親しみを持つきっかけになれば」と期待する。