被告、身じろぎせず 殺人ひき逃げ死刑判決、遺族と視線合わせず

 
盛藤被告の判決公判が開かれた地裁郡山支部

 三春町で昨年5月に男女2人が小型トラックにはねられて殺害された事件の裁判員裁判では、盛藤吉高被告(51)に死刑判決が言い渡され、盛藤被告は極刑を告げる裁判長の声に反応を示さなかった。顔を赤らめ涙をこらえ切れない様子の遺族と盛藤被告の視線が交わることは最後までなく、重苦しい雰囲気だけを残して地裁郡山支部で開かれた公判は幕を閉じた。

 「被告人を死刑に処する」。判決を言い渡されたその瞬間も、盛藤被告は身じろぎ一つせず、背中を丸めてうつむいていた。顔は白いマスクに覆われていて表情ははっきり見えなかった。小野寺健太裁判長が判決理由で事件の残虐性や身勝手さを指摘している間も、盛藤被告は終始下を向いたまま、最後まで顔を上げることはなかった。

 盛藤被告はこの日も白いシャツと青いジーンズ姿で出廷。小野寺裁判長に証言台前の椅子に座るよう促されると、重い足取りで被告人席から移動した。

 小野寺裁判長が主文を後に回し、判決理由から朗読を始めると、報道陣は速報するために一斉に立ち上がり、法廷は慌ただしさに包まれた。「被告人の人命軽視の態度は顕著であって、死刑が宣告されている事例に匹敵する」。小野寺裁判長の言葉にも、盛藤被告は一度も反応を示すことなく、約20分にわたる判決公判が閉廷した。

 延べ5日間にわたった公判。被告人質問で検察側から「被害者や家族のことを考えなかったのか」との問いに対し、盛藤被告は「そこまで考えが至らなかった」と述べるなど小声で曖昧な供述に終始した。その供述を亡くなった男性の妻(58)が何度もハンカチで涙をぬぐいながら聞く姿が事件の不条理さを物語っていた。