かわうちワイナリー開所!村内で全工程、醸造家・安達さん移住

 
醸造設備を前に「個性が光るワインを造る」と誓う安達さん

 ワインを力に村の未来を創る―。川内村が村北西部の山あいに広がるブドウ畑に整備した醸造施設「かわうちワイナリー」が26日、開所した。今秋収穫するブドウから醸造までの全工程を村内で完結できる体制が整った。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で被害を受けた農業の再生や新しい産業の構築、にぎわい創出など復興へさまざまな願いを込め、唯一無二のワインの完成を目指す挑戦が始まった。

 「川内の個性が光るワインを造る」。醸造家の安達貴さん(34)=東京都出身=は情熱を胸に村の地域おこし協力隊としてワイン造りの中心を担う。東京農大醸造科学科を卒業後、山梨県や青森県のワイナリーで約9年間にわたりブドウ栽培や醸造の技術を磨き、販売のノウハウも培った。その経験と手腕を買われて昨年12月に協力隊となり村に移住した。

 ワイナリー周辺に広がる標高約700メートルのブドウ畑では現在、シャルドネやメルローなど7品種約1万1000本を栽培している。安達さんは「日の当たり方や風の強さもいい」と栽培環境に太鼓判を押し、主に白ワインとロゼワインを仕込むための準備を進めている。来春には村産ワインが誕生する見通しだ。

 村では震災と原発事故を境に高齢化が加速し、村内で暮らす住民2043人のうち65歳以上の高齢者は5割近くに上る。村はワイン生産を「裾野の広い産業」と位置付け、村の特産品を使ったワインに合う料理の開発分野などで新たな雇用の創出を目指す。見渡す限りにブドウ畑が広がる景観を生かしたイベントを開催し、移住を希望する人を含め若い世代の村への関心を引き寄せる取り組みも進める。安達さんは「全国の中から選ばれるワイン造りを通し『川内村』の存在を広く伝えたい」と復興を支える決意だ。

 元気な姿発信したい

 かわうちワイナリー前では開所式が行われた。遠藤雄幸村長が「諦めずに未知の分野のワイン事業に挑み、新たな産業が定着しつつある。元気な村の姿を発信していきたい」とあいさつ。村などが出資するワイン事業会社「かわうちワイン」の社長を務める猪狩貢副村長が「にぎわい創出の拠点としたい」と決意を述べた。

 来賓の内堀雅雄知事、横山信一復興副大臣、葉梨康弘農水副大臣らが祝辞を述べた。出席者がテープカットし開所を祝った。