「サケふ化場」「やな場」整備へ 浪江町、25年度完成を目指す

 

 浪江町は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響で休止している請戸川のサケ漁再開に向け、同町小野田にサケのふ化場、同町北幾世橋の請戸川にやな場(採捕施設)を整備する方針を固めた。2025年度にも両施設を完成させ、約180年の伝統がある「請戸のサケ漁」復活の足掛かりにしたい考え。

 復興庁が29日発表した福島再生加速化交付金配分で水産施設の新たな支援メニューを設け、整備に向けた調査・測量費として3900万円を計上した。

 町によると震災前にあったふ化場とやな場は、津波と原発事故の影響で撤去されたり使用できない状態になったりしている。泉田川漁業協同組合は震災後、伝統のサケ漁を再開させたいとして町に施設整備を要望していた。町は今年3月にまとめた第3次復興計画で、漁業の再開を目指し、やな場とふ化場の整備を掲げていた。

 町はふ化場整備に向け、町内各所で最適地を調査。サケの飼育に適した水質と水量の確保ができるとして小野田地区を選んだ。やな場はかつて請戸川にあった場所に再整備する方針。

 同組合によると、請戸川は国内有数のサケの遡上(そじょう)地とされ、地引き網漁は浪江を代表する秋の風物詩だった。年間最大、1800万匹の稚魚を放流し、10万匹の水揚げがあった。小山公明組合長(78)は「浪江の観光産業の核であり、歴史と伝統を誇るサケ漁を後世に残していきたい」と述べた。