夏観光へワクチン接種急ぐ 新型コロナ、湯本温泉で「職域」開始

 
旅館の宴会場を利用した会場でワクチン接種を受ける旅館関係者=29日午後、いわき市常磐湯本町・「雨情の宿 新つた」

 企業や大学など対象の新型コロナウイルスワクチン職域接種が県内でも本格的に始まった。

 「全国に先駆けて接種することがPRにつながる。安心して訪れてほしい」。29日に職域接種を開始したいわき市のいわき湯本温泉旅館協同組合。薄羽裕一理事長(51)は、接種を契機とした宿泊客回復に期待を込めた。

 新型コロナの感染が広がった昨年3月以降、湯本温泉の宿泊客数は例年の半数程度に落ち込む。首都圏からの宿泊客が約7割を占め、緊急事態宣言発令などで大きな打撃を受けた。

 県内では、7月に県民が県内の旅館やホテルに宿泊する際の費用を補助する「県民割」が始まる。組合は宿泊客が期待できる夏の観光シーズンを前に、職域接種を申請。7月3日までの3日間で従業員やその家族ら約1000人を対象に1回目の接種、7月下旬に2回目を行う方針だ。接種会場となった組合加盟旅館「雨情の宿 新つた」の宴会場では初日、380人が接種した。接種には地元の常磐病院が協力した。

 新つたのおかみ若松佐代子さん(63)は「従業員の安心につながり、早期接種で他の宿泊地と差別化も図れる」と話す。旅館「古滝屋」でフロント業務を務める後藤涼さん(28)は接種後、「自分も感染するのではないかという不安はあったし、自信を持って湯本を全国にPRできる」と声を弾ませた。

 各旅館では、ホームページなどで従業員の接種についてアピールするとともに、接種証明書を持参する宿泊客にドリンク1杯無料などのサービスを行う予定。薄羽理事長は「湯本温泉が重点的対策をしているとアピールする」と力を込めた。