廃棄予定ビニール傘...「一点物」バッグに 再利用取り組み注目

 
ビニール傘から作ったバッグ。一点一点異なる風合いが魅力だ

 8000万本―。日本で1年間に消費されるビニール傘の本数だ。そんな廃棄物をバッグなどに再利用して販売する東京都の企業の取り組みが注目を集めている。活動の原点は、共同社長を務める堀池洋平さん(41)=湯本高卒=が高校卒業までを本県で過ごした経験にある。「製品を使ってもらったり、取り組みを知ってもらい一人一人の意識の変化につながれば」と環境問題に向き合う。

 「(廃棄物でも)気軽に使えて環境に配慮、貢献できるものを作りたかった」。堀池さんは2006(平成18)年にリサイクル商品の企画・販売を手掛ける「モンドデザイン」を設立した。翌年、廃タイヤのチューブを使ったノートパソコン用ケースの販売を始めた。

 リサイクル可能な廃材を探す中でタイヤチューブの防水性や耐久性に着目した。当初、物珍しさはあったがいまいちだった市場の反応も商品数が増えるに連れて見違えた。「素材は何であれ、出来次第で勝負できる」

 20年には、廃棄予定のビニール傘を使ったバッグや帽子などの量販化を始めた。同社によると、ビニール傘は分解のしにくさや費用面でリサイクルが進まず、ほとんどが埋め立てや焼却処分される。日本のプラスチック消費量は世界的にも多く、その要因の一つがビニール傘の廃棄という。

 国などは、持続可能な開発目標(SDGs)達成の取り組みの一つとして「プラごみ」削減に向けた施策を展開しており、同社の取り組みの意義は大きい。さらにビニール傘特有の防水性や汚れにくさに加え、ビニールを重ねて作る生地は窓ガラスのしずくのような独特な雰囲気が特長。"一点物"としても一目置かれている。

 神奈川県出身の堀池さんは、小学校入学前にいわき市に引っ越した。団地造成などで森林が切り崩される光景を数多く目の当たりにし、普段口にしていた湧き水をある日突然「飲むな」と言われることもあった。「いわきで見た移り変わる光景の蓄積が環境活動の原点」とする。

 各企業が商品やブランドを持続させるのための努力を続ける中、堀池さんは自社の商品について「10年後にはなくなるべきもの」と話す。その真意は―。「自分たちの活動で全ては解消されないが、一人一人が環境に向き合うきっかけになり、素材の廃材がなくなることは社会全体にとってプラス。それこそがこの商品の意義だと思う」(折笠善昭)