各地に残る危険な「通学路」 福島県、県道など歩道整備率76%

 
歩道を歩いて登校する児童たち。看板で注意喚起もしている=1日午前、福島市

 千葉県八街(やちまた)市で起きた児童5人が死傷した悲惨な事故。県内の通学路では小学生らを事故から守るため、歩道の整備や安全対策が進んでいる。県道などの指定通学路の歩道整備率は、ここ10年で5ポイント以上改善した。一方で、予算の都合などから未整備の場所も残り、危険な道路をなくすのは難しいのが実情だ。専門家は危険な通学路の定期的な見直しや、地域住民の目によるチェックの必要性などを訴える。

 人ごとではない

 子どもに注意―。1日朝、そう書かれた看板がある福島市内の通学路を児童たちが登校していく。「場所によっては道路が狭く、ガードレールがない所もあって危ない」。小学4年の子どもと一緒に登校した母親(43)は話す。

 八街市で6月28日に起きた事故は集団下校中の児童の列に大型トラックが突っ込んだ。福島市で8年近く児童の見守り活動をするボランティアの男性(73)は「人ごとではない」という。見守りをする場所は「朝はスピードを出す車が結構ある。(道路の構造上)車から歩行者が見えにくい所もあり、ひやっとする時がある」と話す。

 後絶たない事故

 通学路に限らず、県内でも歩行中の児童が事故に遭うケースは後を絶たない。県警交通企画課によると、過去5年で1人が死亡、168人が重軽傷を負った。2017(平成29)年には白河市の国道で、歩道を歩いていた小学6年の男女が後ろから突っ込んできた乗用車にはねられ、男児1人が死亡する事故も起きている。

 自治体や県警は対策を進めている。12年4月に京都府亀岡市で児童2人を含む3人が死亡、7人が重軽傷を負った事故を受け、通学路の危険な場所を点検。実情に応じて、歩道の整備などを進めてきた。県道路整備課によると、一部の国道と県道の指定通学路における歩道の整備率は20年度が75.9%。10年度から5.4ポイント改善した。通学路を含む生活道路の最高速度を時速30キロに制限する「ゾーン30」の整備も進む。県警交通規制課によると、12年度の整備開始から、20年度までに福島市や郡山市など68カ所を整備した。ゾーン整備前より事故件数が減るなどの効果もあるという。

 時代によって変化

 だが、危険な通学路は各地に残る。県道路整備課の担当者は「全ての通学路に歩道の整備をするのが理想だが、道幅や予算、工事にかかる時間の関係で、歩道を設置できない所もある」と話す。

 八街市の事故を受け、菅義偉首相は6月30日に「通学路の総点検を改めて行い、緊急対策を拡充・強化して速やかに実行する」と表明した。

 地域交通に詳しい福島大の吉田樹准教授は「交通の状況は時代によって変化し、点検をする時期によっても違う。何年かに一度は見直しをしていくべきだ」と指摘する。さらに運転手の意識改善や保護者、地域住民らの協力も必要だとした上で「対策ができない場所では、別の策を考えていくことも必要」と話す。