福島県内増えぬ「女性議員」 割合1割程度、現状に専門家警鐘

 
「社会全体が多様性を認め、いろいろな方が声を上げやすい社会になってほしい」と話す乾さん

 政治への女性参画の遅れが叫ばれて久しい。県内でも、県議会や市町村議会での女性議員の割合は1割程度にとどまる。6月に公表された2020年の国勢調査の速報値で、県内の人口は15年の前回調査と比べ約8万人減少した。「持続可能な地域をつくるためにも、女性の声が反映される地域にすることが必要だ」。女性議員が増えない現状に専門家は警鐘を鳴らす。

 ◆◇◇「議会変わった」

 「議会でも、職場でも、いろいろな人がいていいはず」。石川町議の乾初美さん(35)はそう話した。19年の町議選に立候補し、33歳の若さで初当選した乾さんは3児の母でもある。

 石川町出身で、東日本大震災、東京電力福島第1原発事故当時、結婚、出産し関西に住んでいた。だが、風評に苦しみながらも「ここで暮らしていくしかない」と話す同級生の姿に自身も地元での子育てを決意、12年に帰郷した。

 故郷で政治団体の事務員、秘書をする中で、周辺市町村に比べ子育て支援制度が不足しているなど町の課題に気付いた。周囲の声にも推されて立候補すると、出産・子育て支援や育児と仕事の両立に向けた環境整備を訴え、トップ当選を果たした。

 「私が議員になったことで『敷居が高い、近寄り難い(とされた議会の)雰囲気が変わった』と言われることもある」。町議として、プライバシー保護の観点から不妊治療の助成制度の申請を郵送でも可能にするなど、存在感を示している。

 ◇◆◇全国平均下回る

 総務省調査によると、昨年12月31日時点で本県の市町村議会に占める女性議員の割合は9.3%。震災、原発事故が発生した11年の6.5%に比べると2.8ポイント上昇したものの、全国平均の14.8%を大きく下回る。県議会は8.8%で、11年比で5.0ポイント減少した。

 今年に入り、全国の都道府県議会と市議会、町村議会の各議長会は、議会運営の基準となる標準規則を改正。議員の欠席事由に「育児」「介護」を加えた。県議会も会議規則に追加し、開会中の6月定例会では運用案を検討するなど、議員活動と育児などを両立できる体制づくりを進めようとしている。

 ◇◇◆「自治体の縮図」

 女性議員を増やす方法について、福島大教育推進機構の前川直哉特任准教授(44)は「一定比率を女性にする『クオータ制』を導入するのは一つの手だてだが、それが難しい場合でも、議会が自分の住む自治体の縮図なのかどうかを意識してほしい」と指摘する。

 県外に転出した若者のうち、女性は男性の半数程度しかUターンしないという県外自治体の調査を例に「地方が女性にとって住みづらければ人口流出は止まらない」と前川氏。議会の現場で性別や世代の違いで考える施策も異なることを肌で感じている乾さんは、こう訴える。「多様性を認めてほしい。議会に女性や若者が増えれば、変わると思う」(報道部・松永優子)