渡部被告、町民に謝罪 前会津美里町長有罪、再発防止願う声相次ぐ

 

 公共工事の入札を巡り、町政のトップ(当時)に有罪判決が下された。5日に地裁会津若松支部で開かれた判決公判で、懲役1年6月、執行猶予4年を言い渡された前会津美里町長の渡部英敏被告(80)。閉廷後は町民への謝罪の言葉を口にし、町民からは再発防止を願う声が相次いだ。

 紺色のスーツ姿で出廷した渡部被告。中川卓久裁判長が主文を言い渡した際はほとんど動くことなく、その後はじっと正面を向き、「特定の業者に便宜を図ることは許されない」「経緯や動機に酌量すべき事情は乏しい」など、量刑の理由を約10分にわたって聞いた。閉廷後は傍聴席に向かって一礼。法廷を出た後、報道陣の取材に対し「町民に本当に申し訳ない」と話した。

 前町長への有罪判決に会津美里町の40代女性は「逮捕を知った時は町に不信感を持った。今後は信頼回復に努めてほしい」と求めた。60代女性は「入札制度をしっかり見直し、悪化した町のイメージが払拭(ふっしょく)されれば」と期待を込めた。

 公判では渡部被告と斉藤正直被告(65)の関係の深さが明らかになり、渡部被告が「町の公共工事は町の業者に消化してもらうのが筋」と述べるなど、地元の業者を優先させたい思いが浮き彫りになった。入札制度に詳しい東北公益文科大の斉藤哲史准教授は今回の事件について「入札契約の原資が住民から負託された公金との意識が欠如していたのでは」と指摘。地元業者を優先させようとすることは「短期的にはプラスかもしれないが競争者が限られるなど長期的にはマイナスの方が大きい」と話す。

 町では現在、入札制度の見直しが議論されている。再発防止に向け、斉藤准教授は「政治家や職員は『公金を扱っている』という基本に立ち返るべき」と強調。自治体側から財務状況や入札施行状況を積極的に開示して住民の関心を高めたり、第三者が入札を監視する「入札監視委員会」を設置するなど、「透明性を確保し、住民による監視可能性を高めるための取り組みが必要」と訴えた。