「復興五輪の形変わった」 あづま球場無観客開催

 
臨時記者会見で無観客開催を表明する内堀知事=10日夕、県庁

 有観客から一転、無観客での開催となるあづま球場(福島市)で行われる東京五輪野球・ソフトボール競技。「新型コロナウイルスとの闘いの中で、復興五輪の形が大きく変わった」。内堀雅雄知事は10日の臨時記者会見で、競技開始目前というタイミングでの決定に「本当に申し訳なく思う。苦渋の決断を少しでも理解してもらえれば」と思いを吐露した。

 県は、競技を実施するに当たっての基本的な考えとして、組織委に対し1都3県以外の競技会場の観客の取り扱いについて統一的な対応を取るよう求めてきた。内堀知事によると、8日の関係自治体による会合前の事前協議では当初、1都3県以外は全会場が「有観客開催」となる見通しだったという。だが、会合で議論を重ねる中で、北海道は検討中、茨城県は昼間は県内の一部中高生のみ入場、夜間は無観客と変わった。

 その上で、検討中としていた北海道が9日夜、無観客にかじを切ったことで「前提が大きく変わった」(内堀知事)。県が無観客とする方針を固めたのは、10日午前。7月に入り県内の感染状況が徐々に悪化していることを踏まえながら、知事が自ら橋本聖子会長に直接無観客の方針を伝えた。その後、県の関係部局による会議を開き、県としての方針を正式決定した。

 県内の病床使用率は、県が「有観客開催」を決めた8日を含めた3日間、30%を超える状況が続く。10万人当たりの新規陽性者数は1都3県を除く五輪開催地では最も多く「この1~2週間でリバウンドを起こしている」(内堀知事)。9日から集中対策を始めた南相馬市に加え、会津若松市などでも10万人当たりの新規陽性者数が急増している。

 ただ、準備は進められており、9日には競技会場となるあづま球場で運営を支える都市ボランティアの研修会も開かれていた。新型コロナの影響がありながらも、学校連携観戦プログラムで観戦を希望していた3000人余りの児童・生徒が、五輪の雰囲気に直接触れる貴重な機会も失われることになってしまった。

 無観客とはなったが、スポンサーや関係者の入場については、大会組織委が判断するという。

 「復興五輪」だったはずの東京五輪。内堀知事は「復興の姿と、原子力災害を含めた乗り越えなければならない課題を知ってもらう貴重な機会が相当部分失われた」と率直に認めた。「この残念さと(復興五輪に懸けた)情熱を受けた別の形の場を模索し、つくっていきたい」

 本県は今も14カ国・地域で続く県産食品の輸入規制や、処理水を巡る政府の海洋放出方針など、国内外に正確な情報を発信しなければならない課題を抱えている。震災、原発事故以降も東日本台風や今年2月の本県沖地震など、自然災害が相次ぐ中、五輪さえも試練の一つとなった。

 福島市長「致し方ない」

 あづま球場がある福島市の木幡浩市長は、「残念だが感染拡大防止のためには致し方ない判断だ」と語った。