土砂かき分け捜索に全力 熱海土石流、福島県警援助隊28人

 
熱海市の大規模土石流現場で活動する隊員ら =8日(県警提供)

 静岡県熱海市で発生した大規模土石流を受け、福島県警の広域緊急援助隊として現地で安否不明者の捜索に当たった28人が帰県した。12日、部隊を指揮した機動隊中隊長の穴沢克将さん(43)=警部=が福島民友新聞社などの取材に「身の丈ほどの土砂が堆積する場所もあり、二次災害の危険性も伴う現場。何としてでも、見つかっていない人を捜そうと精いっぱいやった」と活動を振り返った。

 援助隊は機動隊や県警災害対策課警備係などで編成し、7日から9日までの3日間、現地で活動した。

 現場は山間部で高低差が大きく、移動にも体力を奪われた。家屋などに流れ込んだ土砂は水分を多く含み、粘り気があって重く、何度も足を取られた。

 さらに断続的な雨で二次災害の危険性が高まり、活動中に何度も退避命令を受けたほか、気温30度を超える蒸し暑さなど、厳しい環境が活動を阻んだ。そうした中でも、隊員らは丁寧に手作業で泥をバケツに集めて土砂を片付け、行方不明者の手掛かりを探った。

 活動中には、被害を確認するため一時自宅に戻った被災者らと接した。穴沢さんは東日本大震災発生時、いわき中央署の地域課に勤務。その後は東北管区機動隊で沿岸部捜索などに従事した。だからこそ「私たちは震災を経験し、被災者の気持ちは十分に分かるつもり。気持ちに寄り添うことを心掛けて接した」。

 現地では、被災した住民たちが泥にまみれた長靴を洗う水道を貸してくれたり、ホースの水で泥を落としてくれたりした。「一生忘れないから」。活動を通じて知り合った女性からは感謝の言葉をもらった。

 一方、発災から約10日が過ぎ、10人が亡くなり、今も17人が安否不明となっている。穴沢さんは「全員でやれることに全力を尽くしたが、自分たちの手で行方不明の方を発見したかったという気持ちはある」と悔しさもにじませた。

 本県でも山間部があり、同様の災害が発生する可能性がある。穴沢さんは、今回の派遣を通じ「少しでも危ないと思ったら、頑丈な建物や地域で指定されている避難場所に身を寄せることが必要だと思う」と話した。