「駅もり」青年、小高のにぎわい創出へ拠点づくり

 
「駅を通して人の交流が増えれば」と話す菅野さん=南相馬市小高区・JR小高駅舎内

 南相馬市小高区は12日、2016(平成28)年の東京電力福島第1原発事故による避難指示解除から丸5年となった。居住人口が東日本大震災前の約3割と住民帰還が十分に進まない中、町ににぎわいを創出しようとJR小高駅に駐在し、駅舎内でイベント開催などを行う若者がいる。

 「地域資源を活用する仕事をしたいと思っていた。一度人口がゼロになった町だからこそ、何でもできる」。1月から小高駅で民間駅長「駅もり」として働く菅野真人さん(24)はそう力を込める。埼玉県出身で大学卒業後は動画広告営業の仕事をしていたが、小高区にある起業家の拠点「小高パイオニアヴィレッジ」で県外出身者による起業が盛んなことを知り、同市に移り住んだ。

 小高駅は2020年3月に無人駅となった。その後、JR東日本子会社の「JR東日本スタートアップ」と起業家支援の一般社団法人ネクストコモンズラボ(NCL)南相馬が連携し、地域活性化の拠点に活用しようと、駅舎内の改装を行ってきた。現在はフリースペースとして開放され、駅もりの菅野さんが管理している。

 菅野さんは「どの町にも特有の歴史があるが、小高区は震災以降、被災の地の印象が定着してしまっている」と話す。そのため小高区の歴史を勉強し地域を巡るツアーを開催したり、駅舎内で地元アーティストを起用したライブなどを行い、地域を知る"きっかけ"を提供している。参加者からは「こういうのをやってほしかった」と好評で、今後も地元住民を巻き込んだイベントに取り組む予定だ。

 また、菅野さんは駅を拠点に地域の見守り活動にも取り組む。小高産業技術高の生徒は電車を逃すと、町には時間をつぶす場所がほとんどない。そこで、駅舎に本やトランプなど娯楽のほか、勉強できるスペースなどを整備。生徒だけでなく、地元住民や子どもたちも気軽に立ち寄れる集いの場となっている。

 肩書の「駅もり」には地域を見守るとともに、森のように人の集いが増えるという意味合いが込められている。菅野さんは「小高区に戻りたい、住んでみたいという人のきっかけになるよう活動を続ける。駅が接点となり、人の交流が増えれば」と話した。