柳美里さん「難しくても諦めない」 寄付講座で心境語る

 
南相馬市の魅力などを語る柳さん=13日、福島市・桜の聖母短大

 福島民友新聞社は13日、第31回みんゆう県民大賞でふるさと創生賞を受けた南相馬市の作家柳美里さん(53)を福島市の桜の聖母短大に招き、寄付講座を開いた。柳さんは2018(平成30)年4月に南相馬市のJR小高駅近くに書店「フルハウス」を構えるまでの道のりを紹介し「難しいから諦めようとは思わなかった」と当時の心境を語った。

 柳さんは5年前の避難指示解除直後の小高区について「駅前の通りも真っ暗だった。私ができるお店は本屋しかないと思い付き、知識もないまま無計画で動きだした」と振り返った。

 読者と著者をつなぐ役割が書店にあると考えていたが、読書離れが急激に進んでいる時代。知り合いの書店経営者からは「借金を抱えることになる」「趣味でないとやれないよ」などと厳しい現状を知らされた。

 震災と原発事故で人口や書店が減少した地域では、出版社と書店の間を仲介する流通業者「出版取次」の確保も課題として立ちはだかった。しかし、出版取次との奇跡のような出会いがあって高いハードルを乗り越えられた。「必要なことをやろうと思えば、必ず誰かが助けてくれる」

 柳さんは震災後、臨時災害ラジオ局「南相馬ひばりエフエム」が放送するトーク番組に出演。市民約600人との対話が縁となり、15年に神奈川県鎌倉市から南相馬市に移住した。

 寄付講座では、移住理由や南相馬市の魅力などを短大生との対話形式で語り、短大生が真剣な表情で貴重な話に聞き入っていた。