「海の家」準備細心 福島県内、飲食の感染対策入念

 

 新型コロナウイルス感染症の影響で今年も開設の判断が分かれた県内海水浴場。このうち、17日に海開きを控える相馬市の原釜尾浜海水浴場では、海の家などの準備がピークを迎えている。東北中央道「相馬福島道路」の全線開通により集客に期待がかかる一方、各地の感染状況は予断を許さず、関係者は感染対策を強化しながら受け入れ準備を急いでいる。

 「お客さんでにぎわってほしいけど、来てほしいとも言えない」。相馬市の原釜尾浜海水浴場で海の家「アグラヤ」を運営する青田祥寿さん(41)は17日の海開きを前に複雑な心境を明かす。

 青田さんは市内で飲食店を営む。コロナ禍で打撃を受ける中、海の家で少しでも収益を確保したいが、県内の感染状況などを考慮すると、集客に本腰を入れる気持ちにはなれない。

 同海水浴場は、東日本大震災で被災した後、2018(平成30)年に再開。昨年は1万8153人が来場した。今年は海の家での感染防止対策を昨年よりも強化して、海開きに備える。飲食物の販売コーナーでは、順番待ちの利用客が密集しないよう、立ち位置を示す目印などを表示した。

 今年4月には東北中央道「相馬福島道路」が全線開通し、県北や山形・米沢方面からの来場者の増加も見込めるが、青田さんは「アクセスが良くなり、人が増えれば、その分感染のリスクも高まってしまう。ここから感染を広げるわけにはいかない」と気を引き締めた。

 県内では新地町の釣師浜海水浴場でも21日に2年ぶりの海開きが行われる。

 一方、南相馬市の北泉海水浴場は22日に海開きの予定だったが、新型コロナ感染拡大の影響で延期になった。市は特別対策期間の31日までは海開きをせず、8月中の開設を目指しているが、「今後の感染状況によっては変更もあり得る」としている。

 いわき市、開設なくても見回りは強化

 昨年に続き海開きを中止するいわき市では、開設の有無にかかわらず海を訪れる遊泳客が予想されるため、17日から1カ月間の開設予定期間に見回りなどを行う予定。震災後再開した久之浜・波立、四倉、薄磯、勿来の4海水浴場では、各海水浴場の実行委やライフセーバー団体、休止中の海水浴場では警備会社か市による巡回を検討している。

 市内では、11日に薄磯海岸で遊泳中の子どもが砂浜から約20メートル離れた岩場に取り残される事故が起きたばかり。市は遊泳などの禁止看板を昨年に比べ増やしており、担当者は「未然に事故を防ぐ工夫を考えていかなければならない」とする。地元関係者による定期的な巡回も行われる。

 薄磯区会区長の鈴木幸長さん(68)は「暑い日に遊びに訪れる場合でも波打ち際にとどめるか、小さい子どもから目を離さないようにしてほしい」と注意を訴えている。