福島県産品「安全です」 東京五輪契機に風評崩す

 
2019年にマレーシアで県産モモのプロモーション販売を行う県関係者。復興五輪を契機に食の安全・安心をアピールする取り組みが求められる

 間もなく開幕する東京五輪は、多くの会場が無観客開催となったものの、世界が注目する一大スポーツイベントだ。東京・晴海の選手村などで県産品が競技に備えるアスリートへの食事として提供されることが決まり、関係者は「福島の食の安全・安心をアピールするチャンス」と意気込む。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から10年。「復興五輪」を足掛かりに風評を切り崩していく取り組みが求められる。

 県は、五輪関連施設で県産品を使ってもらうため、食材提供の条件となるGAP(ギャップ、農業生産工程管理)の認証取得を生産者に呼び掛けることを戦略的に進めてきた。これまでに県内で受けた357件の認証取得数は、全国トップクラスだ。五輪でどこの産品、どの品目が採用されたかは非公表だが、関係者は「モモやキュウリなど旬の県産品が提供されるのではないか」と推察する。

 GAP取得の動きは県内の農業高校にも広がった。岩瀬農高で教員として指導に当たった赤崎直樹さん(33)は「農家を目指す生徒も多く、県産農産品が五輪に使われるということは、将来へのモチベーションになっていた」と振り返る。赤崎さんは「五輪をきっかけに県産農産物が安全・安心に生産されていることが広まってほしい」と期待する。

 19日に東京都のメインプレスセンターで開かれた内外の報道機関への説明会では、本県から二本松市の斎藤登さん(62)がオンラインで参加した。NPO法人「がんばろう福島、農業者等の会」の代表として活動する斎藤さんは、本県の食品の検査体制などについて紹介しながら「原発事故直後のセンセーショナルな印象が残り、生産者の努力が伝わっていない」と指摘した。その上で「福島に来てもらえれば農業の現状が手に取るように分かる」と、参加した記者らに呼び掛けた。

 コロナ禍ではあるが、五輪を契機に人の関心を本県に向けることはできるのか。福島大食農学類の小山良太教授(47)=農業経済学=は「選手らが旬のモモなどを食べている様子を広く情報発信できれば良かった。せめて、食べた感想を聞く機会があればいいのだが」と指摘する。GAPについても「GAP取得で今後の販路拡大がしやすくなった。五輪のために取り組んできたことは無駄ではなく、次につなげることができる」とアドバイスした。