コロナウイルスを吸着、福島医大が「IgA抗体」マスク試作発表

 
新型コロナウイルスに感染した人の血液から取り出した「IgA抗体」を利用したマスク

 福島医大は20日、新型コロナウイルスに感染し回復した人の血液から取り出した「IgA抗体」を活用したマスクの試作品を開発したと発表した。マスクのフィルター部分に含まれるIgA抗体が、外部から来るウイルスに吸着し体内への侵入を防ぐ。医大は特許を出願中。販売については未定で、医大が販売を担う企業を探している。

 医大が、工場の生産設備製造を手掛けるゼファー(須賀川市)に製造を委託した。試作品は非売品で、月内に2万枚(4000箱)製造する予定。医大や同社によると4層構造のマスクで、このうち一つのフィルターに、感染者から取り出したIgA抗体の遺伝子を基に増やした抗体を吹き付けている。抗体は新型コロナウイルスに強く吸着する特性を持ち、フィルター1平方センチ当たり約10億個が含まれているという。

 医大は、新型コロナウイルスの感染阻止に有効なIgA抗体を使った治療薬の開発を進めているが、医薬品開発には早くても数年の期間を要する。研究成果をいち早く社会に還元するため、マスクを開発した。同様に抗体を活用した感染阻止のためのスプレーの試作品も9月に完成させる予定だ。

 ゼファーはこれまで海外の企業との取引が多かったが、感染拡大の影響で受注が9割減った。国内向けに新たな事業を展開しようと、昨年からマスク製造を手掛けている。伊堂隆徳社長(53)は「このマスクの製造は社会に貢献できる仕事だ。感染の減少につなげたい」と意欲を語った。